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「Aちゃん、毎日お前に弁当作ってきてたのに、何で気付いてやらねーんだよ!」
優しい小山さんの声しか聞いたことなかったから、怒りを含んだ低い声に怯んだけれど、
『小山さんっ…!お願いですっ!!』
腕を掴んで涙目で必死に訴えると、
「…ごめん。まっすーと、ちゃんと話しな?」
と言って会議室を出ていった。
増田さんは小山さんがドアを閉めたのを目で確認すると、また私に向き直って言った。
「…Aちゃん、そうなの?…言ってくれたら良かったのに。俺、Aちゃんからお弁当持ってきてくれるの、ずっと待ってたよ。」
そうですよねそうですよね!!
話し掛けられなかった私が悪いんです!
増田さんは全然悪くないのに…!
『……っ………、、……』
謝りたいのに、涙が込み上げてきて、しゃくりあげてしまいそうなのを堪えるのに必死。
「…でもごめん。俺が声掛けるべきだったね。」
『違いますっ!増田さんは悪くありません!…いつも、いつも話し掛けられない、行動できない私が悪いんです。。』
「そんなことない。Aちゃんは、ちゃんと行動してるじゃん?最近は仕事も活き活きやってるなーって、見てたよ?」
『……っ、……/////』
…うそ。
最近確かに(増田さんの影響で)仕事楽しいって思えるようになってきてたけど、そんなの気付いてくれてたの?!
嬉しいーーー(泣)
「行動できないのは俺の方。残業手伝ってくれたお礼、ご飯奢るって言ってたのに、なかなか誘えなくて…ごめんね。誘おうとする度に邪魔が入って…っていうのは言い訳で、まぁ俺がビビってなかなか言えなかっただけなんだけど、、、」
……???
…増田さんが、何をビビることがあるんだろう…??
「…小山に、、お弁当あげたの?」
『あげただなんて、そんな。余っちゃうと勿体ないから、食べていただいてただけで…』
「くっそー!俺がAちゃんの弁当、一番に食べたかったー!まぁ俺が悪いんだけどー!」
『…え?!』
急に大きい声とジェスチャーで悔しがるから、またビクっとしちゃった。
『本当にそんな、食べたいと思っててくださったなんて…ありがとうございます。』
言ってくれてるだけかもしれないけど、それでも「食べたかった」なんて、嬉しい……
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作者名:まこ | 作成日時:2022年1月2日 8時