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孤児院 ページ2

「すみません、ありがとうございました。」
エプロン姿の女性と少女が頭を下げる。
「いえいえ、無事に送り届けられて良かったです。」
少女の腕につけられていたリングには、ここの住所が書かれていた。どうやらここは孤児院のようだ。
「よければお茶でも…」
「いえいえ、お構いなく!」
俺は少女を送り届ける事ができたので邪魔にならないうちに帰ろうと思った。
「メ……メグさんのお茶、美味しいよ。」
少女がそう言うまでは。


「珍しいわね。あの子が人を引き止めるなんて。」
メグさんと呼ばれた女性はお茶を淹れて俺の向かいの席に座る。
少女を子供部屋に連れて行き、俺達は別室へと向かって今に至る。
「あの、お名前をお聞きしてもいいかしら。どうお呼びしたらいいか分からなくって。私はメグと言います。ここで孤児院の院長をやっています。」
メグさんはにこやかに自己紹介をした。
確かに俺も名乗らなければ話しづらいだろうと思い、簡潔に自己紹介をすることにした。
「俺はAです。普段は布やアクセサリーを作って市場で売ってます。」
俺がそう言うとメグさんは「まぁ素敵!」と微笑んでくれた。優しそうな人だ。
メグさんはお茶を一口飲み、先程とは違うまっすぐな瞳で俺を見た。なんだかこの場に緊張感が走る。
「Aさん、さっきの子…気になりますか?この孤児院のことや、ほかの子どもたちの事も…」
そんな質問がくるような気はしていた。
確かに気になる。あの子の言葉を聞いてから罪悪感がじわじわと俺の心を傷つけていた。

『いない、家も、お父さんもお母さんも…』

少女がとても悲しそうな表情でそう呟いた一言がずっと頭から離れなかった。
「Aさん?あの、Aさんが孤児院に来てとてもあの子の事を気にかけている様子だったので…そんなに深く考えなくてもいいんですよ。」
メグさんは優しいそうな微笑みで話しかけてくれていたが、俺の心は落ち着かなかった。
「俺、知りたいです。この孤児院の事、子どもたちの事…」
俺がそう言うとメグさんはどこか嬉しそうになった。
「そうですか。Aさんは優しい方ですね。少し長くなりますけど、聞いていただけますか?」
メグさんはそう言ってイスから立ち上がりお茶菓子を用意してくれた。これは本当に話が長くなるようだ。
だが俺は知りたかった。どうして少女が俺の元に来てあんなに悲しそうな表情をしたのか…


俺がメグさんを見ると、メグさんはにこやかな表情のまま落ち着いた口調で話し始めた。

孤児院 2→←迷子の少女



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作品ジャンル:その他, オリジナル作品
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白詰草 - コメントありがとうございます!!多忙なもので更新が遅くて申し訳ないです。スキマ時間で書いていきますので気長にお待ちいただければと思います! (2020年11月30日 16時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ@うぇーい教おいしい美茶教(プロフ) - 初めまして…!題名に少しつられてのこのこやってきた者です!オリジナルなので、原作なども読まなくて良いし、どんどん引き込まれます…!ゆっくり更新でも良いので、更新、頑張ってください…! (2020年11月29日 6時) (レス) id: e02f1d7237 (このIDを非表示/違反報告)
白詰草(プロフ) - コメントありがとうございます!!超スローペースで申し訳ないです。また読みに来て頂けたら嬉しいです! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!続きが気になって一気読みしました。これからも頑張って下さいっ(*^^*) (2019年12月10日 2時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白詰草 | 作成日時:2019年4月18日 1時

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