【ヒロアカ】轟兄さん３【男主】 (ページ36)

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走っても走ってもこの空間から抜け出せない

いくら炎を使っても雪は全く溶けない

幻覚を見せる個性か、それとも夢か

どちらにしても個性の仕業ということは隙を見せるか何か突破口があるはず

それまで待つか、いや、時間がない

どうする

「お母さん」

『っ！』

声のする方を振り向くと一人髪も肌も真っ白な少年が雪だるまを作っていた

嬉しそうに、楽しそうに

『おい！お前！』

「ねぇ、お母さん。僕ね大きくなったらヒーローになる

お母さんを守れるくらい強くなる！」

俺の足は少年の目の前で止まった

彼はどうやら俺の声も俺の姿も見えていないらしい

そして彼の隣には誰もいないのに少年は一人、誰か。

そう母親がいるように語り出した

「だから、僕がいればいいでしょ」

「だからもう、弟なんていらない」

「僕はお父さんの個性しか継がなかったけど」

「僕がお母さんを守るから」

「だから」

「だから」

「焦凍なんて、いらない」

『っ！』

この少年が誰なのかわかった瞬間

真っ白だった空間は真っ赤に変わった

少年の髪も

「焦凍なんて、いらない」

「焦凍がいなきゃ、お母さんはあんな風にならなかった」

「俺を好きでいてくれた」

「俺を必要としてくれた」

「俺を愛してくれた」

怒鳴るように彼は言った

心なく、冷たく

それに俺は反射的に声を荒げた

『違う！焦凍がいたから俺はここまで！』

「あいつが全部が悪いんだ」

『俺が全部悪いんだろ！』

「両方の個性を持ってるから」

『１つだけでも母さんは守れた！』

「俺から母さんを奪った」

『っ！ちがう…俺が母さんを振り払った』

＿＿A＿＿＿

＿＿ごめんね、A＿＿＿

あの人は最後まで俺を呼んだ

でも、俺はそれに気付きながらそれを無視した

俺がいつになっても前に進めないのは

『俺が、弱いからだ

母さんに会う覚悟がまだない

会ってまた傷つけてしまうかもしれない』

お前のせいだよ

小さい自分にそう言うと

こちらを向いた

痛く、静かに

「僕のせいじゃない」

「僕に押し付けないでよ」

「僕を受け入れて」

『っぅ！』

反転して見えた景色も赤

俺の上に乗った彼は首を絞める

小さいのにどこにそんな力があるのか

「死ね、死ね死ね死ね」

『っぁ、！』

「お前のせいだ」

それは。初めて見る光景ではなかった

そう、この夢は

俺をまだ許してはくれない