離れないよ、蛸だから【吉田ヒロフミ】 (ページ5)

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『ハァァ〜つっかれた』

久しぶりの緊張感のある任務を終え同僚とバーへ

昨日の今日で反省しない私は次々とアルコールを注文しては一気に飲む

「で、最近どうなのよ」

『どうって〜』

「アンタと吉田よ。良い加減くっ付いたの？」

『くっ付いてないよ。すみませんディアブロください』

氷とアルコールが混ざり合う音が響く

暗い内装に瞼が落ちそうになる

『ヒロ君はね優しいの。かっこいいし私なんかより良いデビルハンターになる
彼、高校生には見えないでしょ？大人びててさ優秀で頭もキレる』

「へーへー。なら付き合いなよ」

『…私ねヒロ君の前では大人ぶってんだ。本当はさ甘ったれで泣き虫で怖がりなのに』

目の前に置かれた悪魔の血が混ざったようなカクテル

それをまた勢い良く飲んでカウンターに腕を枕にして顔を伏せる

『わたし、弟が欲しくてお姉ちゃんぶってたの、でもヒロ君が好きなのはお姉ちゃんの私なんだよっ』

本当の私はきっとそこら辺の女とそう大差なくて

２０の年相応の女の子

でもそれじゃヒロ君の隣にはいられない。だって彼が好きなのは私であって私じゃない

『ヒロ君かっこいいじゃんっ、他の子にあげたくない。ヒロ君は私の』

ブーブーとカウンターに置いてたスマホが揺れる

でももう体を動かすことはできなくて頭の中は彼のことばかり

電話なんてどうでもいい

『ヒロ君、会いたい…』

＿うん。今迎えに行く＿

遠くなっていく意識の中、どうしてか最後彼の声が聞こえた