anytime （渡辺） (ページ15)

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「「「かんぱーい」」」

グラスがぶつかり合う音が店内に響く。

私の隣では向かいに座るお目当ての三宅さんにラブビームを送るリナがいる。

三宅さんの隣にはあの噂の天堂さん。

他に男女が3人ずつ隣に並んでいる。

烏龍茶を飲みながら、ふとなべの言葉を思い出して

無性にイライラする。

あれから全く連絡を取っていない。

なべと喧嘩するのはこれが初めてではない。

まあ、私もなべも気が強いとこあるし。

最後はちょっと言いすぎたかな、とは思うけど

今回のことに関しては私は悪いと思わないし。

なべから謝ってくるまで謝るつもりない。

「 Aちゃん、すっごい顔険しいけど大丈夫？(笑) 」

なんて考えてたら天堂さんが私の顔を覗き込みながら笑っていた。

その天堂さんの声にハッと我に帰る。

『あ、私そんな険しい顔してましたか？』

「してたしてた、てかAちゃんで合ってる？」

『あってます』

「俺のこと分かる？」

『分かりますよ～、有名です』

「え、なに、それっていい意味で？(笑) 」

『スーツがいつも綺麗だって、(笑) 』

なんだそれ、と天堂さんは爽やかな笑顔を浮かべている。

隣のミキをチラッと見ると楽しそうに

三宅さんと話している。

よかったよかった。

「てか、Aちゃんお酒飲めないの？」

天堂さんは私の烏龍茶のグラスを指差しながら言う。

『飲めるんですけど、弱いんですよね』

「少しくらい飲んだらいいのに」

『少し飲んじゃったら私、楽しくなってどんどん飲んじゃうんですよね…そしたら結局、他人に迷惑かけるからダメだって友達と約束してて、』

「友達ってミキちゃん？」

「違いますよ！Aには過保護な友達がいるもんでね！」

食い気味でミキが天堂さんに答える。

なべが、お前は酒癖悪いから大人数とか初対面の人とは酒を飲むな、と強引に決めた。

守る私も私なんだけど、

これでお酒でやらかすこともなくなったし。

だから、私がお酒を飲むのは

なべとか大学時代からの友達とか

ミキとかの前だけ。

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