第95話 ページ3
西谷side
言葉が何も出てこなかった。
あれから夜月さんは冴子姉さんが待っているからと言って行ってしまったけど、去り際の…あの時の顔が、頭から離れなかった。
今までで一番…
菅「おーーーい、西谷ーー」
田「ノヤっさん…」
菅「完全に違うとこに意識がいっちゃってるなぁ。」
周りの声なんか聞こえなかった。
1日目の練習が終わってから何も考えられなかった。
清子さんにまで心配されたのに上の空だった。
そんな時、翔陽たちの声が聞こえた。
黒「おい烏野〜今日来たあの美人さんは一体誰の彼女さんですか〜?」
孤「クロ、しつこい。」
黒「もしかしてチビちゃんの…」
影「違います。」
日「即答で言うな影山!!……ちげぇけど…」
孤「翔陽、同じクラスの人なの?」
日「いや、先輩だ。ノヤさんが同じクラスなんだよ。」
そんな会話が色々ね意味で俺を現実に戻した。
同じクラスだけど…
黒「へぇ、違うんだ……じゃあ俺にもチャンスがあるかもな〜」
日・影「「なっ……」」
孤「無理だと思うけど。」
一瞬、音駒の主将が言った言葉が理解できなかった。
心臓が、煩くなる。
黒「けどあれはライバル多そうだけどな。」
夜月さんは既に学校の何人かに告白されているし、外部からもモテるのは知っている。
けど他校の、しかもライバル校のメンバーが狙ってるとなると…
黒「既に他の奴らも噂してたしな〜。」
孤「ニヤニヤしないでよ、気持ち悪い…」
黒「いいじゃねぇか!いや、でも本当…」
その時の音駒の主将の顔は、本気だった。
モヤモヤしてて鳴り止まない鼓動が、耳障りだ。
夜月さんが去るときに言った、あの一言。
『あなたなら、これからもきっと大丈夫。』
これで、終わらせたくない。
夏の東京遠征は、あっという間に終わりを迎えた。
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作者名:極東華梛魏 | 作成日時:2021年12月7日 14時