叶 え て や る よ 〈T.F〉6.

297. ページ47

「…私でいいの？」

藤「Aしかいらない」

「太輔のこと、いっぱい傷つけたよ？」

藤「それはAもだろ」

「太輔のこと苦しめたよ？」

藤「それもAも同じでしょ」

「太輔のこと」

藤「今までのことは今までのこと。これからはこれからのこと。俺はAがそばに居てくれたらそれでいい」

「…。」

藤「ううん」




太輔が握る私の手に力が入る。





藤「Aが居てほしい。それだけがいい。もう、消えたりしないで」

「…私、太輔のこと好き」

藤「うん」

「でも、どうしてかなんて分からないけどっ」

藤「うん」

「太輔のそばに戻ることに迷ってる。私なんかがそんなこと迷うようなこと出来ないの分かってるんだけど…」

藤「ううん、そんなことないよ。でも、なんで？」

「なんでか分からない」

藤「俺のこと、好き…って言ってくれたよね」

「うん」

藤「なにが怖いの？」

「え…？」

藤「俺の元に来るの、なにが怖い？」



怖い？



あ、そっか、そうなんだ。



自分の気持ちに素直になるって決めても、自分の気持ちが分からなくなったりしてたのは、




太輔のことをまた苦しめるんじゃないかって、怖かったんだ。





藤「俺が居る」

「え？」

藤「Aを怖がらせるもの全て、俺が奪ってやる」

「太輔」

藤「こんなにも好きになったんだよ。Aのこと」

「私も好きだよ、でも」

藤「責任取って」

「え？！」

藤「俺のこと、こんなにも好きにならせた責任取って」

「責任？？」

藤「もうAしかみれない」

「…。」







藤「A」









藤「好きなだけじゃだめ？」








藤「一緒に居たいだけじゃだめ？」






こんなにも私に愛をぶつけてくれる。



こんなにも…。




藤「俺はAが好き」




私も太輔が好き。







「太輔、私」




藤「…。」






「怖い」





藤「うん」






「またなにかあるんじゃないかって、怖い」





藤「うん」









.









「でも、太輔と一緒に居たい」

298.→←296.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す