叶 え て や る よ 〈T.F〉6.

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ガチャっ。



藤「Aっ！」

ガンッ！！


「痛っ…！」



勢いよく開けてくれたドアは、私のおでこに見事にヒットした。




藤「A？！！A！！ごめん！！A！！！」

「だ、いじょうぶ」




…恥ずかしい。



素直になろうって、勇気を出して来たのに…



お城での再会が、まさかこんな形になるなんて。



藤「本当ごめんね」

「もう大丈夫だって！」



おでこに冷えピタを貼り付けて、太輔の前に座っている。




藤「本当…はぁ、ごめん」

「もう大丈夫だよ。たくさん謝らないで」

藤「あ…うん、ごめん、あ」

「はははっ、お城の中」

藤「ん？」




きょろきょろと見渡すけど、



「なにも変わってないね」

藤「そう？そうかな。なにも変わってないよ」

「うん」

藤「Aは？今までなにしてたの？」

「うん、そうだね」




太輔と別れることを選んだあと、

旦那の元へ帰った私。



旦那になぜ、バレたのかは未だに分からないけど

浮気がバレてしまった。

相手が太輔ってことは、今も知られていない。



そうやって、ひとつひとつ、全てを話した。



その間、太輔は取り乱すこともなく

静かに、ただただ静かに頷くだけだった。





最後まで話した時、外は明るくなっていた。




藤「A」

「はい」

藤「結婚…したい？」





"ううん"って、首を横に振った。





藤「俺は結婚したい」

「…。」

藤「だけど、出来ない。多分、ずっと出来ないし、しない」

「うん」

藤「俺とずっと居てくれない？」

「え？」

藤「結婚できなくて、Aの願い、叶えてやることは出来ないことの方が多いかもしれない。だけど、ずっと一緒に居て幸せになりたい」

「たいす、け」

藤「やり直すんじゃなくて、１から始めよう」




太輔は私の手を取り、




藤「愛してる」





目を見て、




藤「これから先、なにがあっても離れたくない」





太輔の言葉に息が詰まる…。

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