第30話 ページ30
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どれくらい経ったんだろうか。1時間のような気もするし、1分も経っていないような気もする。こたつもストーブも切れて部屋は寒いはずなのに、別に寒さは感じない。
お互いにポツリポツリと言葉を交わしていると、突然視界が明るくなった。
「…あ、ついた」
「やっとだ〜、目がしばしばする」
そう言って目をぱちぱちと開けたり閉じたりしているとエイジと目が合った。あ、近い。
私はちょっとびっくりして一瞬目を見開いて、すぐ逸らした。彼の方を向けない。耳が熱い。
「…あー、うん、ごめん、」
「あ、いや、こっちこそ」
ぎこちない会話。エイジも少し気まずそうな顔をしてすぐに体が離れた。この雰囲気に耐えられなくて、ニュースをつけて「停電だってさー」と頬づえをつきながらみかんを口に放り込んだ。
(…心臓がうるさい)
隣に座るエイジに聞こえてるんじゃないかってくらい、どきどき、どきどきうるさい心臓。こんな感覚いつぶりだろう。
「A絶対怖がってたよねー」
「は?んなわけないでしょ」
「うわあ、さっきまで可愛かったのに」
「元に戻っちゃったよ〜」と泣き真似をするエイジが、私が剥き終わったみかんをひとつ丸ごと口に入れた。
「口でか」
「これ俺の特技」
こたつに置いていたカゴの中からみかんがすっかり消えた。実家から送られてきた段ボールにまだ残りがあったはず。玄関まで取りに行こう。
「みかん取ってくる」
「無くなるのめっちゃ早いね」
「エイジのせい」
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あや(プロフ) - ぜひ!ぜひ!ぜひ!続きを!!更新待ってます!! (2018年8月5日 22時) (レス) id: 5116ee690c (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - ☆ルナ☆さん» あと少しですがお付き合いください!(((o(*゚▽゚*)o))) (2017年11月29日 23時) (レス) id: fd69086671 (このIDを非表示/違反報告)
☆ルナ☆(プロフ) - キュンキュン/////(((o(*゚▽゚*)o))) (2017年11月29日 0時) (レス) id: 915f053575 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - Cさん» コメントありがとうございます!!これからもキュンを追求していきます…! (2017年11月24日 18時) (レス) id: 2a7f43fe4e (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - 冬春@アバ小説更新中さん» こっちも嬉しいです…!これからもお楽しみください〜! (2017年11月24日 17時) (レス) id: 2a7f43fe4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タバタ | 作成日時:2017年11月6日 15時