第26話 ページ26
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熱くなった顔を見られないように、わざとテレビの方を向く。耳が赤くないか心配だ。
エイジは「風呂ありがとね〜」とか言いながら、タオルを被ったまま私のすぐ横に座った。
「…え、なに」
「乾かしてくんない?そのあいだ編集するから」
「ねえここ私の家」
「こないだの酔っ払い、忘れてあげることもできるよ」
「よし乗った」
弱みを握られているせいでこき使われている気がする。
…いや、ここは我慢だ。我慢してさっさと忘れてもらおう。
タオルを手に取って、こたつに入ってパソコンやらイヤホンやらを机に並べ始めたエイジの後ろに回り込む。ガシガシと乱暴に拭くと、「んー」とか言いながら編集を始めた。
「ねぇ、編集って大変なの」
「…………」
「…あ、イヤホンしてんのか」
勝手にひとりで喋っていたことに気づいてまた顔が熱くなってくる。
ドライヤーで、あの赤い髪をわさわさと乾かす。中までちゃんと染まっていてびっくりした。こんなにがっつり染めてるくせにこのさらさら感はなんなんだ。うらやましい。
ひと通り乾かし終わったけれど、エイジはまだパソコンにかじりついている。
結構暇だし、明日が返却期限のホラー映画を観ることにした。ホラーDVDならではの予告編を観ていると、後ろから声がかかる。
「…ねぇ、それちょっと待って」
「なにエイジ。怖いの?」
「違うー。編集終わってから俺もみたいから待っといて」
「あとどれくらいで終わるのよ」
「1時間」
あと1時間なにもせずに待てるか。DVDを取ったら私にいま残されているものはみかんしか無いのに。寝落ちするに決まってる。
「私絶対寝ちゃうよ」
「は?そんなん許しませーん」
「自分勝手」
「じゃあここおいで、ここ」
そう言いながら、編集画面から目を離さないエイジがぽんぽんと叩いているのは自分の膝の上。
…膝の上?
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あや(プロフ) - ぜひ!ぜひ!ぜひ!続きを!!更新待ってます!! (2018年8月5日 22時) (レス) id: 5116ee690c (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - ☆ルナ☆さん» あと少しですがお付き合いください!(((o(*゚▽゚*)o))) (2017年11月29日 23時) (レス) id: fd69086671 (このIDを非表示/違反報告)
☆ルナ☆(プロフ) - キュンキュン/////(((o(*゚▽゚*)o))) (2017年11月29日 0時) (レス) id: 915f053575 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - Cさん» コメントありがとうございます!!これからもキュンを追求していきます…! (2017年11月24日 18時) (レス) id: 2a7f43fe4e (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - 冬春@アバ小説更新中さん» こっちも嬉しいです…!これからもお楽しみください〜! (2017年11月24日 17時) (レス) id: 2a7f43fe4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タバタ | 作成日時:2017年11月6日 15時