41、“ here sweetie ” ページ43
▶︎▷
「……」
意識が覚醒し最初に見えたのは知らない天井。青い壁に上質そうな天蓋付きの寝台は見覚えが無い
(誘拐でもされた？…今直ぐ逃げなきゃ、私には仕事が───)
「おや。お目覚めかな」
「久しいね。…四年振りだろうか」
何故ならその男は、ポートマフィアの首領、森鴎外であったから。鴉の濡れた羽を思わせる黒髪に赤黒い瞳の彼は真白の
「…何がお望みですか」
部屋が一瞬にして狭く感じられる程重い彼の覇気に、喉を潰されたかのようだった。なんとか絞り出したか細い声で私は問う
「望みなんてないさ、少し話でもしようかと思ってね。…それとも何かな。私が怖いのかい？」
足を組み頬杖を突いた彼は前屈みになると少し此方に近づいた
耳元に近づいた音でそれが判ると冷や汗が伝った。何とも形容し難い感情が自分の意に反して押し寄せる。此れは恐怖か、将又
「はは、君は本当に猫のようだね。そんなに震えて…まるで捨てられた可哀想な黒猫だ」
答えられずにいると背もたれに背を預け彼は笑った。怖がらせる心算はなかったのだと、
妖しい視線から目を背けるようにしていると、隣からシャリシャリと音が聞こえてきた。
「…何を」
振り向くと林檎を剥いているらしかった。器用な手つきで剥かれていく林檎はこの部屋には異質で、彼の白肌とのコントラストに目を惹かれた
「云っただろう、話がしたいだけだと。此れは眠気覚ましにでもと思ってね。それにしてもよく寝ていたよ、よもや目覚めないかと」
落としていた視線が一瞬向けられて、心臓が止まるかと思った。この人は一つ視線を向けるだけでいとも容易く私を支配する
「はいどうぞ」
「…あ。え？」
口許に手を伸ばされ思わず後ずさった
どうやら私に林檎を直接食べさせる気らしい。お皿があるのだから渡してくれればいいのに
「口を開けてごらん」
「お皿…あの、私自分で」
「A君。」
なんとか自力で食べたいと手を伸ばしたり首を振ったが埒が明かず。後を考えると恐ろしいが、諦めて腹を括り口を開けた
「…いい子だ」
林檎の味は緊張で乾いた喉によく染み渡った。私の様子を見ると安心したように一息ついて彼は椅子に座り直す
「───話というのはだね」
＿
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しじま(プロフ) - しじみさん» はわ…コメントありがとうございます…！！最初しじみ様のお名前拝見した時私の名前と似ていて一瞬困惑しました笑 面白いだなんて…お褒め頂き光栄です、めちゃ励みになります！更新お待たせしてしまう事もあるかと思いますが今後ともよろしくお願いします♡！ (2023年4月6日 12時) (
レス) id: 56a96b1c08 (このIDを非表示/違反報告)
しじみ - めっちゃ面白いです！！！ (2023年4月6日 11時) (レス) id: cb27ff8610 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しじま | 作成日時：2023年2月25日 12時
