13、図書館にて ページ15
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入社試験が終わった後、特に用事も無かったので中島君達を見送ってから、私は図書館に来ていた。図書館の中は冷房が利き実に過ごしやすかった
この図書館は古くからある図書館のようで、とても大きい上にかなり古いので回り切るのが難しい。私はすぐ本を読み切ってしまうので、私にとってはむしろ好都合だが
探偵社のような賑やかなところも嫌いじゃないが、此処のような静かなところも嫌いじゃない。1人で寂しくないのかと聞かれるが特に気にならない。……偶には少し寂しくもなるけど
何か善い本はないかと辺りを散策する。人は少なく閑散としている
階段を登っていると、コツコツと階からあまり聞かない靴の音が響いた
(───？休日の昼からスーツで図書館？)
視線だけ向けると少し異質な空気を纏う男性がいた。
(初めて見る人だ)
上等な黒いスーツを手に持ち、頭には帽子をかぶっていた。私はこの図書館によく来るのだけど、その人は全く知らない人だった
こんな古い図書館に来る人なんてそもそも少ないのだが、今日は暑いし涼みにでもきたのだろうか？
特に考えることはせず、私は視線を戻した
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私はこの図書館での出会いをとても大切にしている
昔は自由に外に遊びに行くことも許されず、異国の地で右も左も判らない。用意された本だけが私の心の支えとなってくれていた
本を読んでいる時だけは、私ではない何者かに変われたような気がした。
本の中なら行けない場所にも行けたし、したいことができたし、夢を見ることができた
然し彼処にいる時は本に限りがあった。科白を覚えてしまうくらい同じ本を何度も読み返して、読み返して……
そんな時に出会ったのがこの図書館だった
父の母国である日本に来て間もない頃、本を読みたいという私の我儘を聞いてくれた太宰さんが連れてきてくれた。太宰さんは父の知り合いらしかった
その日からこの図書館は大切にしている。今では探偵社と同じくらい大切な私の居場所
ここでは皆が平等で、皆私に善意を向けてくれるし、私を誰も知らなかった。それがとても嬉しかった。
たまに危険分子が入ってくることがあるが、私が全て
───誰にだってこの平和は絶対に壊させたりしない
(…いけない。直ぐに考えすぎるのは私の悪い癖だ)
(あの人が悪い人でなければいいけど)
彼のその紅髪がやけに気になって仕方がなかった
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しじま(プロフ) - しじみさん» はわ…コメントありがとうございます…！！最初しじみ様のお名前拝見した時私の名前と似ていて一瞬困惑しました笑 面白いだなんて…お褒め頂き光栄です、めちゃ励みになります！更新お待たせしてしまう事もあるかと思いますが今後ともよろしくお願いします♡！ (2023年4月6日 12時) (
レス) id: 56a96b1c08 (このIDを非表示/違反報告)
しじみ - めっちゃ面白いです！！！ (2023年4月6日 11時) (レス) id: cb27ff8610 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しじま | 作成日時：2023年2月25日 12時
