29:帰り道 ページ32
その日をきっかけに、私はクラスであまりからかわれることはなくなった。
それでもクラスの人たちは、私にどこかよそよそしい態度をとった。
帰り道___
「…」
「…聞いてる?」
…しまった、祥吾の話聞いてなかった。
「ごめん…何?」
「いやだからさ、マシバのポテトって最近量少なくなったよなぁ?アレ詐欺だろ」
何の話だ。と突っ込みを入れる。なんだこいつ、人が割と凹んでいるときに←
「…桜散ってきたな」
「そだね」
上を見ると、数日前とは違うさびしげな景色が目に飛び込んできた。時が流れるのはあっという間だ。
「_気にしてんのか。」
「…え」
「この前、クラスの男子に言われたこと」
「…まぁ、ね」
ちょっとだけ、気にしている。本当に今さらだけど。
祥吾は「うじうじすんなよー」とめんどくさそうに呟く。はいはい。ケンカも強くて自分に自信のある祥吾にはわかんないよ。
「…祥吾ってさ、不安になるときってある?」
「ない」
即答。かえって呆れた。それでも…少しだけうらやましい。
「何お前…不安なの?」
「…悪い?」
祥吾は気づいていないが…クラスの人は私がいるとわかった瞬間、すごく嫌な顔をする。祥吾がいるから、前のように軽い嫌がらせを受けてはいない。
でも__
それが返って、私の不安を掻き立てた。
”祥吾がいなくなったら、私は今度こそ本当にいじめられる”
だから祥吾と離れたくないし、祥吾が先生に呼ばれただけでも息が詰まりそうになる。
「行かないで」って、引き留めたくなる_
「大丈夫。もしお前がなんかされたら__
そいつ殺しに行くから」
「祥吾が言うと冗談に聞こえない」
祥吾はははっと笑う。その笑顔が黒く見えたのは…気のせいにしておきたい。
祥吾は私の少し前を歩いていたが…その足を止めた。
「まーつまりさ…」
「?」
「俺がいるから、お前は何も心配することねぇ…ってこと」
本っ当。
祥吾はなんで__私が1番欲しい言葉をくれるの?
「いつか、お前の無実を証明して…あいつらをぎゃふんと言わせよーぜ!」
「__うん。すっごい楽しみ」
__でもね
「…知ってた?”いつか”って一生来ない日のこと言うんだよ」
「え」
その時だった。
「ニャー…」
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ミユウ - むっくんの作品もよかったけど、こっちも好き!なんか主人公が最後には報われるようなやつ。本当書くの上手だね! (2015年5月3日 21時) (レス) id: f62038dd2e (このIDを非表示/違反報告)
(* ̄ー ̄) - 毎回楽しみにしてます!! (2015年5月2日 22時) (レス) id: 639f544728 (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - 月葉さん» 楽しみだなんて…とっても嬉しいです!更新頑張ります (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - だるさん» ありがとうございます^^頑張ります (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - kibukibuさん» でしょう?最近この言葉聞いて思いついたんです! (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水島リツ | 作成日時:2014年12月1日 23時