19:彼女 黄瀬side ページ21
「言いすぎです!!」
「〜っ!」
彼女たちが去った後、黒子っちはそう言い、俺の頭の上に拳骨をかました。
地味に痛いっす←
「限度ってものがあるでしょう!?」
「…だって、ムカつくじゃないすか」
反論した俺の言葉に、黒子っちは「意味が分からない」とでも言いたげな顔をした。
でも、本当にむかついたのだ
名前で、しかも呼び捨てで呼び合って。
仲好さそうで。
「あんな奴とつるんで…バカみたいっス」
裏切り者のくせに。
奥歯をギリ…と噛みしめる。黒子っちは、そんな俺を見て無表情で言い放った。
「…君がAさんにイラつきを感じているのは__」
「まだ、彼女のことが好きだから…じゃないですか?」
「…は?」
一瞬、黒子っちの言葉が理解できなかった。
「…何言ってんスか。俺が人の財布盗むような女、好きなわけ__」
「先生も言ってたでしょう?」
無表情なのは変わらない、
はずなのに…。なぜか、彼が怒っているように見えた。
「”犯人はまだ見つかっていないし、証拠もない。だから、余計な詮索はしないように”__と。」
「Aさんを犯人だと決めつけたのは__
僕らです。」
彼の言葉が、やけに胸に刺さる。
「でも、見た人がいたって…」
「河野さんのことですよね?君は、たった1人の言葉を信じるん___」
「…俺は!!」
黒子っちの言葉を無理やり遮る。続きを聞きたくなかった。
「…愛梨っちの言葉を…信じるっス」
____
__
あのとき、
愛梨っちから話を聞いたとき
彼女に嘘だと言ってほしかった。
否定をしてほしかった。
でも__
「いいかげんにしてよっ!!」
「きゃっ…」
俺には見せたことがない、怒りにあふれた表情で愛梨っちの胸ぐらを掴む彼女
それを見て怖くなった。
なんで__?
俺の知っているAっちは、
誰よりも優しくて
人を傷つけることが、何よりも嫌いで___
なのに
「…誰、ッスか」
目の前にいるのは
俺の知っている彼女じゃない。
もしかして、猫かぶってた?俺に、嘘ついてた…?
「…っ止めろ!!」
気が付けば、彼女を突き飛ばしていたんだ。
___
__
「…っ、黒子っちは。どっちの味方何すか」
「…別に。どちらの味方でもないです」
「ただ」
「いつも笑顔で、バスケにも真剣に取り組んでいた彼女が…人の財布を盗んだりしないと思うんです」
彼は、いつも何を考えているのかわからない。
*
1089人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミユウ - むっくんの作品もよかったけど、こっちも好き!なんか主人公が最後には報われるようなやつ。本当書くの上手だね! (2015年5月3日 21時) (レス) id: f62038dd2e (このIDを非表示/違反報告)
(* ̄ー ̄) - 毎回楽しみにしてます!! (2015年5月2日 22時) (レス) id: 639f544728 (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - 月葉さん» 楽しみだなんて…とっても嬉しいです!更新頑張ります (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - だるさん» ありがとうございます^^頑張ります (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - kibukibuさん» でしょう?最近この言葉聞いて思いついたんです! (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水島リツ | 作成日時:2014年12月1日 23時