16:一触即発 ページ18
「…なんでここにいるんスか」
「私がここに居ちゃダメなの?」
彼の冷たい声が、やけに耳に残る。
自分の声が震えていたのもよくわかった。
嫌だ。嫌。
誰か___
「なーにしてんのっ」
険悪なムードを崩す、能天気な声。振りむくと__
「…っ、祥吾」
「おー。誰かと思えば、俺らの天敵のリョータじゃん」
そう言い、ケタケタと笑う祥吾。その声には妙な安心感があった。
一方黄瀬くんは、ちっと舌打ちをし、
「あー…本当だったんスね」
「…え?」
「椎名Aが、灰崎祥吾とつるんでるって噂」
まるで犯罪者を見る目で私たちを見る彼。その目は、もう、大好きな彼の優しい目ではなかった。
「なんすか?灰崎(そいつ)巻き込んで、俺らに復習しようとか?」
「…そんなこと、しないよ」
「どーだか」
必死に振り絞った声で答えたが、彼は私の言葉に冷笑した。そんな彼に、祥吾が「…てめぇ」と、掴みかかる。私は、それを慌てて制した
黄瀬くんが、今度は祥吾のほうを見る。
「あんたも、こんな奴に関わるとロクなことないっスよ」
「…あ”?」
「あー。”こんな奴”だから付き合ってんすか。『類は友を呼ぶ』…ってやつっスね」
「…何も知らねーくせに、随分大口叩くなぁ、リョータぁ…」
祥吾が今にも殴り掛かりそうなくらい、怒りをあらわにしていた。それでも、黄瀬君は話すことをやめなかった。
「まぁ、犯罪者同士。これからも仲良く__」
「…っの、歯ぁ食いしばれぇ!!リョータぁ!!!」
___ドゴッ
鈍い音が響く。
それと同時に、黄瀬が「…ぐっ」と苦しそうにもがきながら、地面に倒れた
その場にいた全員が、呆気にとられる。
なぜなら、
彼に、思い切り蹴りを入れたのは
灰崎ではなく
「…」
Aだったからだ。
*
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ミユウ - むっくんの作品もよかったけど、こっちも好き!なんか主人公が最後には報われるようなやつ。本当書くの上手だね! (2015年5月3日 21時) (レス) id: f62038dd2e (このIDを非表示/違反報告)
(* ̄ー ̄) - 毎回楽しみにしてます!! (2015年5月2日 22時) (レス) id: 639f544728 (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - 月葉さん» 楽しみだなんて…とっても嬉しいです!更新頑張ります (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - だるさん» ありがとうございます^^頑張ります (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
水島リツ(プロフ) - kibukibuさん» でしょう?最近この言葉聞いて思いついたんです! (2015年3月16日 19時) (レス) id: 1b884eaa7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水島リツ | 作成日時:2014年12月1日 23時