ヒロインなんて、なりたくない。７ (後編)

178話 ページ6

ズンズン無心にこっちに近づいてくる。

　え、なになに…




「ね、沙羅(さら)分かるでしょ？」

「え、うん。」




　沙羅ちゃんはクラスメート。

　背が高くてモデル体型なのに可愛らしい顔立ちをしていて、そんな容姿を持ち合わせていながら運動面では敵なしのスポーツガール。


　部活対抗リレーをガチりたいから、と言ってクラス対抗リレーには以前から出ないと公言していた。

　沙羅ちゃんが出てくれれば私は出ないで済んだかもしれないのに。もう。

　

　確か……、応援団だったはず。




「その、沙羅がね…
綱引きに出たときに人がいっぱいいるところで綱引いてたから、ごちゃごちゃしてて足挫いちゃったんだって。」


「え、だいじょぶなの。」


「分かんないの。
でも怪我してるのに、部リレーにどうしても出たいって聞かないんだって。出るために、ギリギリまでアイシングするって。」

「まあそういうことだから応援は出れません、なんて言われちゃってさ…」




　呆れたような声を出す美門くん。

　あ、相変わらず沙羅ちゃんはぶっ飛んでる子ってことだけは分かったよ。




「えー、どうするの。」




　わざわざ私に言いに来たけど、なぜ？

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