ヒロインなんて、なりたくない。７ (前編)

155話 ページ7

北原さんは元々、友達が少ない。まともに話せるのは、同じクラスの幼なじみ兼親友である東条渚(とうじょうなぎさ)さんくらいというのも結構有名な話。

　彼女はとっても美人で有名。整った顔をしているのにそれを鼻にかけず、しかも告白されたら必ず断るという高嶺の花的存在で、東条さんも有名人。


　北原さん、最近は私とも話してくれて、"彩ちゃん"と嬉しそうに話しかけてくれることがあるから少し嬉しかったりする。





「私こそ、邪魔しちゃってごめんなさい…。」

「邪魔なんかじゃないよ、大丈夫！」

「彩ちゃん、やっぱり優しい… 可愛い上に性格もいいなんて……そして頭も良いし運動も出きるし…」




　そして彼女は私を常にべた褒めするんだ。口を開けば、褒め言葉ばかり言ってくれる。

　嬉しいけど、そんなに素晴らしい人じゃないから勘違いだけはしないで頂きたいと常日頃から思っているんだけどね。





「それで、本題は？」




　興奮しながら話し続ける私への褒め言葉も、何だか私が気恥ずかしくなってきてムズムズしてきて、話をそらした。

　すると北原さんは、また嬉しそうに笑う。




「私達保健委員だからね、」

「うん。」

「体育祭もそろそろだしミーティングみたいなの開きましょうって、養護教諭の先生が。」

「なるほど〜」




　確かにそろそろなんだ、体育祭。

　夏休みも明けて9月、体育祭は9月下旬だ。桜ヶ丘の体育祭は大規模な盛り上りで結構有名なのだ。行事が元々盛んだから、準備も早めに始まる。

　ちょっと楽しみだったりするんだけどね。

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