ヒロインなんて、なりたくない。７ (前編)

163話 ページ15

練習も本格的に始まり、体育祭1週間前になった。桜ヶ丘は1週間前から授業も部活もなくなり、毎日体育祭の練習オンリー。

　楽しかったりもするけど、汗ばかりかいて結構どっと疲れが出るンだよね。


　リレーで私は、2年生の先輩からバトンを貰い、アンカーの美門くんに渡す。なかなか重要な役だ。

　練習も、ほとんどリレーばかりで毎日結構な量を走り込んでいる。

　そして今、予行練習の真っ最中。そろそろリレーだから、なかなか緊張していた。だってバトン貰うのも渡すのもテクニックとかあると思うし、大変そうなんだもの。




「よろしくねー、立花彩ちゃん！」




　私にバトンを渡す役割である先輩が、わざわざ話しに来てくれた。にっこり笑ってくれているし、好印象だった。

　でもなんで……私の名前を？




「いやー、あの彩ちゃんにバトン渡すとか緊張だなあ。」

「へ、へっ……？」




　訳がわからずぽかんとしていると、「あ、そうだった。鈍感なんだよね。」と納得したように微笑まれて、あまりこっちが納得できなかった。

　はて？




「リレーの選手の人、入場門前集合ー！」




　体育の先生のマイク越しの大きな声で、緊張の波がぐわんと押し寄せる。

　お、お腹痛いぃ…

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