区切られた世界 (ページ4)

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夕食ページ4

「そういえば、Aさんは時間大丈夫かい？だいぶ暗くなってしまったけれど…。」

アクアパッツァを頬張る手を止めて、神宮寺寂雷、もとい寂雷さんを見る。
慌ててもぐもぐと咀嚼していた物を飲み込む。

「…使用人が迎えに来てくれるそうなので、お気になさらず。」

「そうかい…。すまないね、夜遅くまで…。」

寂雷さんは、話を聞いていた一二三さんと共に眉尻を下げた。
独歩さんは、言わずもがな謝罪の嵐である。

「…独歩さん、謝らないでください。大丈夫ですから。」

どうにかしてくれ、と一二三さんに視線を送れば、分かったように独歩さんに声を掛けてくれる。

「…本当に大丈夫ですからね？馴染みがない土地で案内を求めるのは当然ですし、頼りにされること自体は嬉しいですから。」

軽く微笑んでみれば、嬉しそうに笑ってくれる二人。
独歩さんはまた、ボーッとこちらを見つめるばかり。

「…独歩さん？大丈夫ですか？」

顔が良いのは、うちの高校の生徒達に言われ続けていることなので、少なからずは自覚しているつもりだ。

…まあ、ここまで三つのチームと関わって来て、全員整った顔立ちだったため、壁の外ではそれが普通なのだろうと思い始めているが。

「は、はい！！大丈夫です！すみません！！」

思わずといった感じで後退りした独歩さんは背後の壁にぶつかった。
その衝撃も気にせずに首をブンブン振る様子からは、大丈夫そうにはあまり見えないが、まあ、気にしないことにしよう。

「独歩くん、僕にもラザニアを一口くれないかい？もしよかったら、Aちゃんも。」

独歩さんの反応に笑ったのか、笑顔の一二三さん。
その一言で独歩さんと一二三さんと私のご飯交換タイムが始まった。

外は街の明かりが唯一の光源とばかりに暗闇が広がっていた。