それぞれの想い の段 ３ ー雑渡さん目線ー ページ33
今日はAに簪を贈った。
髪型もAの似合うように結いあげ、私の気持ちを込めた簪を刺す。
Aが私の想いに気付きますように・・・。
初めて他人へ願いを託した。
言葉で言えばいい、と分かっている。
しかし、Aから私を欲してくれることを願っていた。
忍者城へ着き、皆で休憩をしていると、
尊奈門がAの簪に気がついた。
何も知らないAが、私から貰ったと話すと、
忍軍の視線が一気に私に集まった。
雑「そういうことだ。」
五条弾へ視線を向け、そう一言だけ言う。
先日の仕返しだ。
あぁ、部下にこんな事をするとは、私もまだまだだな。
そう思いながらAを見ると、皆がなぜそんなに驚いているのかわからず
困ったような、でも楽しそうな顔をしてきた。
今夜、聞きに来るだろうな、と思い笑みが溢れる。
夕餉を終え、Aを探していると、縁側で月を見上げていた。
月光に照らされる彼女の姿はすごく美しく、どこか儚げだった。
声をかけようと思ったが、人の気配がし、立ち止まる。
すると、五条弾がやって来た。
嫌な予感がした。
五「俺ね、Aちゃんのことが好きなんだ。
Aちゃんが俺を好きになるまで、待つから。
俺がAちゃんのことを好きで、大切に想っているって忘れないで。
・・・組頭といる時でも。」
五条弾の言葉は、真っ直ぐだった。
私には言えない言葉。
Aはどんな顔をしているのだろう。
私はAを見る勇気がなかった。
自室へ戻ってしばらくすると、Aも戻ってきた。
どうしてもAに会いたくて声をかけた。
雑「A入るよ。」
すると、弱々しい声で返事が返ってきた。
その声に不安を覚えながらも、そっと襖を開く。
雑「もう寝るかい？」
そう言うとAと目が合った。
そこには、悲しみを堪えたような今にも泣き出しそうなAがいた。
どうしてそんな顔をしているの？
なんて聞ける筈ない。
雑「・・・どうしたの？」
それを聞いてどうするつもりなのか、と自分でも思ったが聞かずにはいられなかった。
私の問いかけにさらに泣きそうになるA。
もっと素直に私を頼ってくれればいいのに。
何故、頼らないのか。
ふとある考えが浮かんだ。
もし、私といる時でも五条弾を思い出せと言う言葉に戸惑っているのなら。
・・・・もし、私の想いとAの想いが同じなら。
少しの可能性に賭けてみる事にした。
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雑渡花(プロフ) - IZさん» IZさんコメントありがとうございます！亀更新ですが、ぜひこれからも読んでいただけると嬉しいです♪ (2021年8月12日 15時) (
レス) id: f89ab8bbea (このIDを非表示/違反報告)
IZ(プロフ) - とても素晴らしい作品で何度も読み返したくなりました！！これからも更新お待ちしております。 (2021年8月12日 10時) (レス) id: 8c8442ffaa (このIDを非表示/違反報告)
雑渡花(プロフ) - 舞美さん» コメントありがとうございます！中々更新できずすみません。尊いとか言って頂けると、すごく励みになります！ (2021年5月11日 17時) (レス) id: f89ab8bbea (このIDを非表示/違反報告)
舞美(プロフ) - 何度読み返しても尊いです。ありがとうございます。雑渡さんイケオジ… (2021年5月11日 17時) (レス) id: 762e6989c9 (このIDを非表示/違反報告)
雑渡花(プロフ) - あみんさん» 雑渡さん、これから色んな人にヤキモチ妬くので、どうぞ温かく見守ってくださいね！気長にお待ちください♪ (2021年1月3日 11時) (レス) id: 509f3dfa31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雑渡花 | 作成日時：2020年12月19日 22時
