雑渡さん、だめっ。

それぞれの想い　の段　２ ページ31

雑「・・・どうしたの？」

何かを察した雑渡さんは私の側までやってくる。

私「いいえ・・・。何も・・・」

本当は雑渡さんに言いたい。
でも、なんて言えばいいのか。
弾さんに告白されました。どうしましょう？
雑渡さんといる時も忘れないでと言われて動揺しています？

雑渡さんは他の人の言葉に惑わされる私に呆れるかもしれない。

雑「・・・言わないならいいけど。

私に素直にならないおばかなAには任務を２つ与えよう。

１つは忍術学園にいる間に、私が簪をあげた意味を調べる事。
忍術学園のよい子に聞いてもいい。もちろん先生方でも構わない。」

そう言って雑渡さんはふっと笑った。

いつも見るのが大好きなその笑顔も今は私の胸を締め付ける。

雑「そしてもう１つは、その意味に対するAの答えを持ってくる事。

任務の失敗は許さない。必ず、忍術学園にいる間に答えを出して私へ報告するように。」


そう言った雑渡さんの目はすごく厳しい目だった。

私「・・・わかりました。」

やっとの思いで返事をすると、雑渡さんは私を抱きしめた。

雑「早く答えを見つけて私のところへ戻っておいで。」

優しさと、少し悲しい気持ちが混ざっているような声だった。

雑「じゃ、ゆっくり休んでね。おやすみ。」

口布越しに額にちゅっと口づけ、雑渡さんは自室へと帰って行った。


雑渡さんの気持ちが嬉しかったのと、
動揺しまくりの自分が情けなくなり、

その夜は声を押し殺して泣いてしまった。

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