君がいない世界は色がなくて空虚で

24-T ページ24

「俊哉のぶんまで、俊哉と一緒に生きよう」

そう決めた日から今日まで、あっという間に年月が過ぎていった

大変なことももちろん多かったけど、充実した毎日だった




あの日から俺たちは後ろを振り返ることなくただただ突っ走ってきた

俊哉が亡くなって30年が経とうとしている現在、キスマイは夢を実現させて10年前解散した

それでもメンバーとは頻繁に会う

今はメンバーじゃなくて、親友になった

やっぱり長年一緒にいたせいか、みんなといると楽しいし何より落ち着く






がやとみつはキスマイのデビュー10周年の日、ツアーで結婚を発表した

当時はいろんな考えを持つ人いて、
同性愛がまだまだ広まっていない世の中、
いわれのない噂や陰口を言われることもあった

それでも、2人は何があっても離れなかった

そんな姿を見て、俺はちょっとだけ羨ましく思ったのを今も覚えてる






それからニカと千ちゃんは結構前から一緒に住み始めた

2人の家はいつ行っても本当に騒がしくて、
もう60のおじいちゃん達だなんてとても思えない

一緒に釣りに行ったり、海に行ったり…すごく元気で2人とも長生きしそうだ


渉はペットと料理関係の資格をいくつも持っていて、解散しても第二の人生を謳歌してる
「好き」に囲まれて毎日幸せそうだ






俺はといえば、特に変わったことはなくて、
自分の好きなことだけして生きてる

数年前から自分が知らない世界を見たいと思ってよく海外旅行に行っていた

でも最近は体調が優れなくて行けてない

今日なんか特に調子が悪い

頭がガンガンして痛くて、熱も出てる

今日は俊哉の命日だから御墓参りに行きたかったんだけど…






こんな風に元気が出ない日はいつも、あの日天国の俊哉からもらった手紙を見る

もう書いてあることが言えるくらいに何度も何度も読んだ






今も手紙を読んでいるのに今日はなんでだろう

すごく眠くて

意識がふわふわして

文が頭に入ってこない




ひとつひとつ思い出が蘇ってくる

ジャニーズに入った日

俊哉と初めて会った日

キスマイができた日

初めてライブをやらせてもらった日

デビューが決まった日

ドラマや舞台の主役が決まった日

自分たちの冠番組ができた日…


でも最後に思い浮かんだのは

やっぱり

満面の笑顔を浮かべる俊哉の顔だった

優しくて

あったかい

君に


はやく…逢いたい…

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