君がいない世界は色がなくて空虚で

11-T ページ11

「俊哉……？……………おじゃまします…」




生きてて欲しい…









シンとする部屋に俺の声が響く






呼びかけても来ないから、俺の切なる願いは淡い期待に終わる




君は声も発しない



顔も見せてくれない



姿も見えない








必死に君を探してもどこにも見当たらなくて









メンバーの止める声も耳に入らなくて、ただただ愛しい君を探す









ねえ、どこにいるの？









君の居場所に一番近いはずなのに、俺には君が見えないんだ









この距離が遠くて、痛くて、苦しい









「俊哉…好き…だよ？……会いた…ぃ………どこ…にいる…？








泣きながら伝えても届かない




涙を拭く気にもならなくて




水槽を探す気にもならなくて







座り込んだ床には涙の水溜まり









ふいに








ふわっと後ろから抱きしめられる









君の…香り？








「…俊…哉なの…？やっと…来てくれた……？会いたかった………………」




振り返ろうとしても、もう力尽きて動けない




思えば君が亡くなってから、満足できるような食事を摂る気にもなれなかったし、




あまり休めてなかった




久しぶりのあたたかさにすっかり安心して







心が落ち着いて意識が遠くなる









薄れゆく意識の中で聞こえてきた、誰かがすすり泣く声と、抱きしめてくれてる人の声









あぁ








やっぱりね









窓から入ってきた風は、ガヤの香水の匂いがした









わかってるよ





心のどこかでわかってた









この背中の温もりは









俊哉じゃないってこと









俺の想いは空に浮かんで、君には届かないまま消えていく









ああ会いたい








眠りに落ちる瞬間に頭をよぎったのは






君が笑ってる顔だった

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