【第七十三話】 ページ26
団長にそう語るホーソーンの目に悲しげは消えていた。
怒り、それだけだ。
「金を餌に、彼女を死者の列に引き込んだのだ」
「何だと?」
ホーソーンは点滴棒を伝い団長の後へ去った。
「彼女の名誉は私が取り戻す」
────〇────
「緊急プラン...?」
Aはオルコットに呼び出され、緊急プランの計画を伝えられた。
だが何故自分だけオルコット直々に通達されたのか、Aは分からなかった。
「はい...Aさんはスタインベックさんと一緒に、地下室である少年の監視をして貰おうと思っています...」
オルコットの言うその少年の名は夢野久作。通称『Q』
どうやらポートマフィアの人間らしく、ラヴクラフトにより捕獲されたらしい。だがギルドの言う監視と言われると...。
「...拷問か、何かですか?」
「そ、それは...」
「...オルコットさん!」
「は、はひぃ!」
Aはギルドを脱出出来なかった上、今もこうして団長の下でワンと吠えている自分に怒りを覚えた。
オルコットを叱りたい訳ではない、只の八つ当たりだ。
そうと分っていても、Aは自分の感情を抑えられずにいた。
「何故です!何故なんですか!?」
「な、何が...ですか...?」
Aは自分の感情の限りをオルコットにぶつけた。肩を掴み壁に押し付けると彼女に熱弁し続けた。
「何がって...、アンタそんな事も分からないのかよ!俺はギルドを辞めたんだ!なのに何で俺は今もこうして、団長の命令を聞かなきゃいけないんだよ!
意味が分からねえよ!!
俺は探偵社の人間なんだ!もう此処の人間じゃない!なのに...何で...」
オルコットの首元に顔を踞せ「俺は...そんなにギルドに必要なの...?」と弱々しく呟いた。
正直、オルコットも何故団長がここまでAに執着しているのか知らなかった。
ギルドとはもっと想像を絶せる冷酷さを持っている。
だが団長は何故かAにだけはその冷酷さを見せることがほとんどなかった。
「Aさん...」
「もう嫌だ...何でここまで、しつこく付きまとわれなきゃいけないんだよ...。こんなんじゃまるで、動物園から脱走した猿みたいだ...。
もう、死にたくなってくる.....」
声を抑える様にオルコットの元で泣きじゃくった。彼はもう、これ以上ギルドに関わりたくないと訴えている。だがそれを止める権限はオルコットにはない。
オルコットはAの頭をそっとさすった。
「お願いですAさん...、これは、団長の最後の我が儘なんです...」
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星月 菜兎(プロフ) - アメ子さん» お返事ありがとうございます!!楽しみにしています!!更新頑張ってください!! (2016年11月18日 23時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - 星月 菜兎さん» 両方のエンドですね…(; ・`д・´)ゴクリ ではお話が終わり番外編が出来次第、片方のエンドを製作してみようと思います!リクエストありがとうございます!(≧∇≦) (2016年11月18日 7時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
星月 菜兎(プロフ) - コメント失礼します!!ハッピーエンドも見てみたいですがバッドエンドも見てみたいです!!ぜひお時間ありましたらどちらも書いてください!!わがまますみません!! (2016年11月17日 1時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - ゆずかさん» 3周もリピートされているとは…!大好きだと言ってもらえて嬉しいです、これからと頑張ります!!ヽ(。・ω・。)ノ (2016年11月15日 21時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - 1ヶ月半ほど前から前作を読み始め、最近やっと追いつきました!これからどうなるんだろう、とワクワクしながら3周ほど読み直しています。何回読んでも飽きなくて面白くて大好きです! (2016年11月15日 20時) (レス) id: 6d28a617a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アメ子 | 作成日時:2016年9月16日 19時