【第八十八話】 ページ41
「ハアッ.....ハアッ...」
走る、走る、走る。行き先なんて判らない。何処に向かって居るかなんて判らない。
だが兎に角走る、暗い夜道に照らされた一本の道を。
呼吸が乱れ、体力を奪われる。途中足をくじき転ぶこともあった。
それでも走った。
走って走って走り続けて、辿り着くはきっと。
誰も経験したことのない、天竺が待って___
『お前が殺したんだ』
『親も、仲間も、師も...皆お前の誤ちで死んだのだ』
『.....違う、僕は...俺はやってない!!!』
走っても走っても、影は着いてくる。
どんなに振り払おうが、どんなに苦痛を与えようが。
だったら、もういっそ___。
「諦めるしかないじゃないか...」
「...?」
ポウは疲労が溜まりぐっすりと眠りに就いたAを見つけていた。
イビキをかき時々寝言もボヤいていた。相当疲れて居たのだろう。
「(まあ、無理もない話であるが...な)」
たった一日で眼を潰され横浜を燃やした犯人に仕立て上げられたのだ、精神的にも肉体的にも穏やかじゃない。
それに何と言っても彼の情緒不安定な性格だ、よっぽど大きな転機が訪れん限り立ち直ることは出来ないだろう。
「
ポウはAにそっと毛布を掛けてやった。
すると彼はまた、弱々しい声で寝言をボヤいた。
「ごめんなさぃ...乱歩さん.....」
────○────
「はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜遣る気出ない」
「朝から壊れたラッパのような声を出すな太宰」
太宰は探偵社のソファにて頭を突っ伏し無気力人間の様になっていた。
昨日ギルドからの攻撃があったものの、探偵社は傷一つなくまた社員も皆無事である
「島村を除いて、だがな...」
国木田は自力で帰還してきた敦から聞いた報告に悩まされていた。
敦の言う限り、Aは探偵社に帰ろうという意思はあるものの、ギルドの団長にそれを阻まれ右眼を潰された所まで目撃したのだという。
「おい太宰...」
「私は今ねぇ、誰かと対話する気力もないのだよ。
国.....なんとか君」
「不燃ゴミの日に出すぞ貴様」
「あぁ...食事も面倒くさい...呼吸でお腹が膨れたらいいのに.....」
「バナナの皮すら面倒なら餓死してしまえ」
国木田が真面目に考えこんでいる中、太宰をそれを邪魔するかの様にいり入った。バナナを憂鬱そうな顔で皮ごとガジガジと齧り、その行動は国木田を余計イラつかせた。
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星月 菜兎(プロフ) - アメ子さん» お返事ありがとうございます!!楽しみにしています!!更新頑張ってください!! (2016年11月18日 23時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - 星月 菜兎さん» 両方のエンドですね…(; ・`д・´)ゴクリ ではお話が終わり番外編が出来次第、片方のエンドを製作してみようと思います!リクエストありがとうございます!(≧∇≦) (2016年11月18日 7時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
星月 菜兎(プロフ) - コメント失礼します!!ハッピーエンドも見てみたいですがバッドエンドも見てみたいです!!ぜひお時間ありましたらどちらも書いてください!!わがまますみません!! (2016年11月17日 1時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - ゆずかさん» 3周もリピートされているとは…!大好きだと言ってもらえて嬉しいです、これからと頑張ります!!ヽ(。・ω・。)ノ (2016年11月15日 21時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - 1ヶ月半ほど前から前作を読み始め、最近やっと追いつきました!これからどうなるんだろう、とワクワクしながら3周ほど読み直しています。何回読んでも飽きなくて面白くて大好きです! (2016年11月15日 20時) (レス) id: 6d28a617a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アメ子 | 作成日時:2016年9月16日 19時