三十四 ページ33
宏太.
祝い客も漸く捌けて、それぞれが湯を浴びられたのはもう深夜に近かった。
一緒に入りたかったのに、にべもなく拒否られ一人待ち。
まぁ…これから先一緒に風呂は幾らでも出来るし。第一、怒らせて今夜が台無しだけは絶対避けたい。
………待つのが長いな。
火鉢の炭を無駄につついたり、立ったり座ったり。
二組ぴったり合わせて敷かれた布団を弄くってみたり…改めて見ると派手だな。
八乙女の家から贈られたもんだけど、黒地に鶴と亀って…。
黒がこんなに自己主張激しいとは知らなかったよ。金糸銀糸もふんだんで、張り込んだなお義父さん…。
待てよ、本当は光の文金高島田姿を見たかったからとか?!
俺が強力に白無垢押したの、実は不満だった?!
いやでも泣いてたよな義父。義母に宥められてたのを、俺はしっかり見たぞ。
あれはもしや悔し涙っ?
「ここで婿舅問題勃発かよー!」
「何が勃発?」
「ひ、ひかるっ、」
「はいそうですが」
さらりと障子を開けて入ってきた光が、不思議そうに首を傾げた。はい可愛いもう可愛い。
白の寝間着が細身を際立て、やっと夫婦になれたという妙な実感が湧いてきた。
「ぅわ、これか!なんっつー派手な…」
「これ?」
「布団」
どき。
「見せてくれなかったんだよ、親父」
やっぱり婿舅問題…。
「うんと幸せにしてもらえって。それだけ言われたの」
嫁入り道具を揃えると言う義父を、既存のもので足りると説得した光。頑として譲らない親子に、義母が譲歩手段として持ちかけたのが件の布団なわけ。
(何故布団だったんだろ)
この中で色々いたすんですけど…。
よそう、萎える。
「宏太」
はっとして見れば、しゅっと衣擦れの音をさせ、正座した光と対峙した。
「これからも末永くよろしく」
慌てて崩してた膝を改める。
「こちらこそ、…見捨てないでね」
「そっちこそ」
深々と礼を取り、どちらからともなく吹き出した。
「もう、人が真面目に」
「俺限界だもん」
「わっ」
くいっと引っ張って、豪華な布団の上に転がった。
やっと俺だけの光に出来る。それがどれだけ嬉しくて待ちわびたか。
「ありがとう。来てくれて」
「宏太…」
呼ばれた唇を塞いでしまえばもう歯止めは要らない。
全く抵抗のない柔らかなそこに舌を絡ませれば、吐息を漏らし応える光。
「宏太…こうた…」
「ひかる…」
もどかしげにまさぐり帯を解く。
夜気に晒されてく素肌がふるりと震えた。
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます!焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす!慧坊っちゃんも動くかなー?ヒャヒャヒャ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…!慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…!?続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと?仕掛けたかったですと??なぁんてこと!!見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい!さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて?色々バレちゃったシー。味方が増えた! (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー!そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年10月17日 11時