残虐な女 ページ33
女side
『…ふむ。確かに…キィ…動けばっ……肉が切れる、ということですか』
キィ
手足を軽く動かすと、骨の軋む音がする。
無理やり解けば、私はミンチになる、と。
目線を下げれば、5匹は此方を鋭い目で睨みつけていた。嗚呼、あの3匹の腕と足を捥いだから?
先程路地裏でいきなり襲ってきたのはあちらなのに…
「…大人しくしていろ。さもなけば、…」
風格のある猫が私を見上げ言う。
「待てよ!もうここまで追い込んだんだ!彼奴らの仇を早く遣ろうぜ!」
単調的な猫は、どうやら私を早く殺○たいらしい。
「…待て。奴には…」
下でやんややんやと、揉めている。
「もう仲間が3人やられたんだ!」とか、「嫌、聞きたいことがまだ残ってる」とか。
2匹の口論に3匹も輪に入っていく。
“仲間”ねぇ…ふふふ。
『ふふ…暗殺者がお仲間ごっこだなんて、馬鹿みたいね。』
5匹はピタリッと動きを止めこちらを見上げた。
『貴方達が私を仕留める機会を与えてくれたから、褒美にこちらから材料を提示してあげましょうか。まだ、“手”に持っていたから。』
ブチッィ
無理やり右手を動かして前へと向ける。
その度に骨の軋む音と、肉のグチュッと抉れる音がするけれど、私に痛みはない。
「え…ちょっと待ってよ!?…そ、“ソレ”は…」
『嗚呼…吊るされた時は少し驚いたけれど。
よかった…落とさなくて。
貴方達から見たら死角だものね。
でも、今ならほら、ちゃんと見えるでしょう?
なんて名前だったかしら…
アべロ?ア○ロ?…そんな名前の…貴方達のお仲間』
そう言い放ち、右手にぶら下げていた首を彼らの方へと投げる。
クルリ、クルリとそれは回ってゆっくりと地へと降り立った。
「あ、ア…アフロオオォォォオ!!!」
雌猫が叫び、その頭をぎゅっと抱きしめる様子を見て、嗚呼アフロって名前だった、と単純に思った。
それと同時に膨れ上がる彼らの殺気。
怒り、憎しみ…憎悪の気持ちを私に“観せて”くれる。
【わざわざ怒らせるために首を持ってくるなんて、私と一緒で、残虐な女ね。A】
夜兎の本性である彼女がそう語りかけてきた。
やはり、戦闘に近い行為をすれば血は抗えないのか、たまにこうして血脈から這い出てくる。
『ふふ…知らなかったの?私はこういう女ですよ。』
フッと微笑して、毛を逆だてる猫達を見下げた。
今日も今日とて、暇をつぶす為に。
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歴史クイズ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2022年8月29日 18時) (レス) @page23 id: ce3cc772d9 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - 飴さん» いいえ。誤字などわざわざ教えていただき有難いです。ありがとうございます!最近更新できず待たせてしまっている状態でこちらこそ申し訳ないです。亀更新ですが、よろしくお願いします。 (2018年10月20日 23時) (レス) id: bdf6a0b39b (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - とっても面白いです!あの、生意気で本当に申し訳ないのですが、「停まりゆく者」で「ご注文の粗茶です」というセリフがあるのですが、粗茶の意味は粗末な茶、上等でない茶、という意味です。注文するものではありません。生意気に指摘してしまって本当にすいません! (2018年10月16日 17時) (レス) id: 2b842d3a3b (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - 山乙女 桜さん» そう言ってもらえると嬉しいです!ありがとうございます。 (2018年7月24日 23時) (レス) id: bdf6a0b39b (このIDを非表示/違反報告)
山乙女 桜(プロフ) - なにこれ面白い (2018年7月24日 18時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:金糸雀 | 作成日時:2017年2月25日 18時