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彼女の家の最寄りのバス停は桜町病院前である。
夜八時近くの暗い夜道を彼女の手を取りながら帰路に着き、今日の出来事について話していた。
あの愚劣極まりないおっさんの話になって、俺は気になっていたことを問う。
「なぁ…あのおっさんになんて言われたん？」
「えっと確か…もっといいバイトがあるって。なんか、一回三万だよ、って言われた」
ソイツの言うバイトとは、売春的な類のものだろう。本当にあと数分でも遅れていたら…と考えて、柄にもなく背筋が凍る。
「うっ…わ………キモすぎへんか…。A腕掴まれてたよな、家帰ったらよう洗っとき」
「ふふ、うん、すごく気持ち悪かったけど…その後シッマに抱きしめてもらったから嫌な気分も吹き飛んだよ」
ドン引きしつつそう言うと、彼女は少しだけ笑いながら俺の右手を強く握った。その行動に思わず思考が停止する。
だが、Aはそんな俺のことは露知らずで畳み掛けてきた。
「シッマって身長高いし、肩幅もしっかりしてるから抱きしめられるとすっぽり埋まって収まりがいい感じするよね。ほら、手も私と比べてだいぶ大きいし…」
「…A、もう、勘弁してくれや…」
「え？」
「俺が持たへんわ………ほんま…」
車道側に顔を背けて呟く。両思いだったのは本当に嬉しいが、いざ付き合い始めて初っ端からここまで遠慮なく言われては心臓が危うい。
けれどそんな俺を見て彼女はまた楽しそうに笑うので、少しの恨みを持ってじとりと睨みつけるが、きっと今の俺の顔では少しも怖くないだろう。
数分して彼女の自宅前に着いて、手を離す。俺は別れる前に道中考えていたことを提案した。
「来週土曜、夏祭りあるやんか。俺その日の部活午前練やから、行かへんか？」
「うん！行きたい！」
「ん、じゃあ、詳しい予定は後で連絡するわ」
「わかった。送ってくれてありがとうね。
あと…今日から、よろしくお願いします」
「…おう、よろしく、おねがいします」
彼女はそう言うとぎこちなく頭を下げた。俺もそれに釣られるように同じく頭を下げるが、それから同時に顔を上げて二人で笑い合った。今更かしこまることも無いだろうに。
それからおやすみと伝えて、俺は来た道を戻る。後ろを振り返ると彼女は俺が見えなくなるまで見送ってくれて、曲がり角が見えて最後に手を振った。
一人になって、立ち止まる。これから俺は、彼女と向き合っていきたいのだが。
まだ、自信はなかった。
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なーや(プロフ) - こちらでもコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです(泣)まだ夏の話ですけど終わりまで見て下さい笑m(_ _)m (2021年4月10日 22時) (
レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
相馬(プロフ) - 更新されると､まだ終わらないっておっしゃってましたけど、あ…また日付が進んでいく…と思ってしんどくなります笑毎日更新されるのが楽しみです！！ (2021年4月10日 20時) (レス) id: 7501b9a05e (このIDを非表示/違反報告)
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