7 ページ24
.
多量のカロリーを消費するべく軽く海で遊んだら、あっという間に日が沈み始めていた。とはいえ、夏場なので六時を過ぎた時間でもまだ見渡せるくらいには明るいのだが。
｢7時台のバスで帰るか｣
｢せやね。いやぁー、一日あっという間やったなぁ。トントンあともう三杯はいけたやろ｣
｢何言うてん…最初から替え玉用意させるのは頭おかしいんだよなぁ｣
前方を歩くトントンとゾムのやり取りなんてひとつも聞かず、俺は一番後ろを着いていく。
あれだけ思慮しながらも、結局Aに連絡を取ることなく一日が終わった。
何をここまで躊躇っているのだろう。
自分のこの想いに嘘はない。それは分かっているのに、どうしようもなく怖い。人は自分の知らない物に対して恐怖を抱く。この得体の知れない恋という感情が、その往く末が、俺にはどうしても分からなかった。
それでも、俺は…
｢…なぁ、あそこ、誰かいるよな｣
｢え？あー、男の人と………え？あれ、女の人腕掴まれてません？｣
ふと目についたのはトタン板の倉庫の近くにいる人影。
よくよく見てみれば、誰かが男に腕を無理やり引っ張られているように見えて。
その誰かが…
｢Aや…｣
今一番、頭の中にいる人物だった。
｢ちょっ、先輩！？｣
認知した時点で、俺は既に走り出していた。
後ろから驚いた様子で声をかけられるが、そんなのに構っている暇など無い。ほとんど本能的な行動だった。
走りずらい砂に足を取られそうになりながらも、がむしゃらに走る。砂を飛ばしながら全力疾走で、ものの数十秒ではっきりとその人を捉えた。
間違いなく、Aだった。
「A＿＿＿ッ！！！」
彼女の腕を掴んでいた男を蹴り飛ばす。うめき声をあげながら地面に転がった男から庇うように、彼女の前に立った。
｢シッマ…！｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なーや(プロフ) - こちらでもコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです(泣)まだ夏の話ですけど終わりまで見て下さい笑m(_ _)m (2021年4月10日 22時) (
レス) id: 8296248943 (このIDを非表示/違反報告)
相馬(プロフ) - 更新されると､まだ終わらないっておっしゃってましたけど、あ…また日付が進んでいく…と思ってしんどくなります笑毎日更新されるのが楽しみです！！ (2021年4月10日 20時) (レス) id: 7501b9a05e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
