【d!】月の魔女と愛念の呪い【gr】 (ページ29)

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目の前に座る彼女は満足そうにご馳走様でしたと手を合わせた。昨日のような質素な食事と打って変わり、今日はひとらんの店で買った材料をふんだんに使って主食と主菜と副菜とそれら全てが揃った料理を提供出来た。

「とても美味しかった…！グルッペンは何でも出来るのね。」

「満足してもらえたようで何よりだ。何か食べたいものがあったらリクエストしてくれ。ある程度作れると思うから。」

彼女の賞賛の声に思わず鼻を高くしてそう返した。そんな俺の顔を見た彼女は少し笑いながら、食器を片付けようと席を立つ。

続いて、俺も自分の物を片付けようと席を立った時、横を通り過ぎた彼女が突然、がくりと膝を折って体制を崩した。

「あぶな…っ、」

咄嗟に手を出して、何とか手にしていた食器類も倒れそうになった彼女にも何事も無かった。一度彼女の食器を机に置いて、足に力が入ってないらしいAをソファに移動させる。

「どうした？足でもつったのか？」

「えと…ちょっと、左足が……痛くて…」

彼女は左足の痛みを和らげようと手でさすっていた。どうしたらいいのか分からずあたふたする俺に、彼女は眉を下げて笑いかける。

「心配しないで。久しぶりに沢山歩いたから、ちょっと疲れちゃっただけだと思う。」

「そ、そうか…。ならそこでゆっくり休んでろ。片付けは俺がしておくから。」

「ええ…ごめんね。」

申し訳なさそうに謝る彼女に首を振り、俺は自分とAの食器を洗い場まで運び、片付ける。
心配ではあるが、彼女が自分でああ言っているのだから、余計なお世話はしたくなかった。