小さな神威くんの飼育係

第91話 『血塗れた生き様』 ページ9

遠い星を転々とし、法を犯す、



前へ進めば進むほど、黒く染まり
立ちはだかる幾千もの敵を倒し、その足を再び
歩める



太陽を背に、陰を作り、血塗れた足跡を地面に残しながら。




それこそが夜兎の生き様、そんな夜兎である神威は
今日も部下を連れある星に来ていた




「お兄さん浮かない顔をしてどうしたんだい？」




と任務先で老婆に話しかけられる




「辛い過去をお持ちなのかい？
忘れたい事が山ほどあるだろう？」




そう言って老婆をあるものを差し出した





「さあ、これをお食べ、
これを口に含むだけでいい、それだけで
嫌な事全てを忘れられる」





とニコリと笑った老婆にフッと口を緩め
己の拳を老婆の隣の壁に向かってくり出した





ドゴォン！！！






「俺にはそんなもの必要ないよ」





そう言って、恐ろしさから、膝から崩れ落ちる老婆に見向きもせず立ち去る神威





そして去り際






「アンタの殺意、俺に見抜けないとでも？」





と口を開き、その場を後にした






(あんな雑魚に言い寄られるとは。
そんな腑抜けた面をしていたのか)





と背筋を伸ばす。
自分は、師団の先頭に立つ者
上がしっかりしなくては下がダメになる





とニコリといつも通り口角を上げた






「...団長気味が悪ィぞ...」





「なんのことだよ？」






とニコニコ顔で笑えば、少し青ざめた顔で
慌てふためく阿伏兎






「いや、なんでもねェ、すまん」






と謝罪の言葉を口にする阿伏兎は
小さな声で、なんで殺気立ってんだよ...と
呟いている





やはり長年連れ添ってる仲なのか
俺の"笑顔"の意味が分かるらしい





目を細めそんな阿伏兎を尻目に
部下達の元へ向かった






ー
ーー






「第7師団の神威だ！！！」




「クソっ！！ここまできやがった！！」






と敵が叫び始める
やはり、俺には忍んで敵のアジトへ乗り込むのが
向いてないらしい





「...はぁ、仕方ねェ、団長ちと人数は多いが
大丈夫そうか？」





と聞かれ






「誰に向かって言ってんの？」






と笑う。だよな、と答える阿伏兎を背に
神威は一人突っ込んで行った




「...！殺れ！神威をやっちまえば
こっちのもんだ！！」




と、銃口を向け始め構える敵に




「...クス 悪いけど皆殺しだ」





と傘を振るう






「団長に続けェエエ工！！！」






とそんな阿伏兎の声が聞こえたが
お構い無しに敵を一気に数十人とたおしていった

第92話 『幸か不幸か』→←第90話 『甘い言葉と彼女を縛る茨』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す