小さな神威くんの飼育係

第90話 『甘い言葉と彼女を縛る茨』 ページ8

「A！！どこだ！！！」




と近くであたしを呼ぶ声が聞こえる
それに答えるとその人はすぐにあたしの元へ駆けつけた




「ハァ...ハァ...、...心配かけさせんじゃねェ！
...どれだけ心配したと思ってんだこのアマ！！」




と肩で息する総悟はあたしの無事を確認すると
安堵したように優しく微笑む、




もしかして心配して急いできてくれたのだろうか
そう考えると堪らなく罪悪感でいっぱいに
なった




『ごめん総悟あたし、、』




本当は帰るかすごく迷ったんだ、なんて
口に出せるはずもなく、俯いていると
その事に気づいているかのように総悟が力いっぱい
抱きしめてきた





「A、お前は真選組、
俺達の仲間だ、これからも、この先も
だから、勝手に首輪捨てて居なくなんな」





と言われ、その言葉がどうしようもなく
己を縛る呪縛のようにも聞こえ、小さく頷く事しか
出来なかった





ー
ーー






"さようならAお前を忘れない"





そう言った神威の言葉が頭の中を支配する
さようなら、もうあたし達は会えないのか、
お前は忘れたいほどの思い出だったのか
と心の中で答えなど出てくるはずもないのに
問いただす





『何でそんなこと言うの』





なんて、口に出してみても
遠い宇宙にいるあいつには聞こえるはずもない







どれだけ悲しくて涙を流しても





どれだけ周りから笑わせられようとも





きっと生涯あたしは神威を忘れる事は
出来ないだろう







『...あたしは立ち止まらない。
何年経ってもあいつの背中を追いかけてみせる』





ぐっ、と握った拳を空にかかげ、願った







どうか、もう一度あいつの隣に立てますように、




と

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