小さな神威くんの飼育係

第110話 『重なる思い出』 ページ29

急遽始まった晋助を驚かそう大作戦。
ゲームは簡単、あたしが晋助と何気なーい
会話をしバレるまで猫を被るのだ



｢ほら、行くっすよA｣



と急かすまた子。一応、その騙す相手が己の
上司という事を本当に分かっているのだろうか




まあ、なにはともあれあたしは晋助の扉を
ノックした




｢…誰だ？｣




と部屋の中で声が聞こえる
その声にあたしはいつもよりツートーンぐらい
声を高くして返事をした




『あ、すみません…第7師団所属の
"葉月"というものです…』




と言えば、少し間を置いて、扉が開かれた





｢何の用だ｣




ギロりと冷めた目であたしを見下ろす晋助、
そこまで近寄んなオーラを出されるとこっちも次なんて言おうか迷ってしまうくらいだ




『あ、えーーーと、私！貴方の事、前から
気になっていて！お喋りできたらいいなと
おも ガチャン





し、閉め出されたァァァァ





『ちょ、また子、扉が閉められたんだけど！！？』




と物陰に隠れているまた子に小さな声で話す、
するとまた子はグッジョブと親指を立ててきた





『いや、上手くいってねーから？！
親指立てんな折るぞコノヤロウ！！！』




と言えばまた子は親指でもう一度いけ、
としめす。





『え、ちょ、まじで？
あたし気になっていて、とか言って,
閉め出されたんだって、それでもう1回
行くとかまじで強者じゃね？まじしつこくね？』



と言ってもまた子は早く行けと目で訴えてくる




『…おま、まっじで今度夕ご飯奢りだかんな』




といいつつ、気を取り直してもう一度ノック、





しかし、 部屋の主からの返事はない
ただの屍になったようだ





『晋助さーん、お願いしますー
少しだけでいいんです。お話しませんか？』





と一か八かでもう一度声をかける
するとようやく、開かれた扉。





けれど、晋助の眉間にはシワがよっている
見ればわかる不機嫌なやつやん





｢しつけェ、俺ァお前なんかに興味はねェ
失せろ餓鬼｣





と煙草の煙を顔面にぶちまかれる
それにイラッとした私は晋助のキセルを奪い取り
煙に肺を入れた後あいつの顔面に煙をぶちまいてやった




『大人だけど？』




とニヤリと笑えば、鋭い目を大きくさせる晋助、





え？なに？なんで驚いてんの？




と疑問に思った瞬間、晋助は
静かにこう呟いた





｢…A？｣

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