小さな神威くんの飼育係

第103話 『夢か現実か』 ページ21

「も、申し訳ありません！」



と頭を下げる部下と思わしき彼女、涙目になっていて少し可愛そう、すると神威はそんな彼女を見て
早く出ていってよ なんて言う始末



(神威の奴、性格がまた一段と最悪になったな...)




なんてシラーっとその様子を見るあたし。
それでも神威の口の悪さは止まらない




「ねえなんであの女をこの師団に入れたわけ？」



と阿伏兎に質問する神威



「...いやあ、女もいいもんかと思ってだな」



と阿伏兎が言えば、神威は目を鋭くさせ
こう口を開いた



「ねえ、もしかして俺のためじゃないよね？
あいつが死んだから？」



なんて怒りを露わにする神威、
あたしはそれをずっと黙って聞いている




「...まあ、そうだな、
あれからあんたも本調子そうじゃねぇし
あいつの代わりと言っちゃなんだが、
部下達も女が入れば少しはあの時の
気が紛れるだろうって思ってだな...」




なんて言う阿伏兎に神威はふんっと鼻で笑い
こう言った





「Aの代わりなんていらない
あいつじゃないと意味が無い、
あんなブスあいつと比べるまでもない」




と瞳を閉じる





(おまえ、ブ、、
って...結構あの子可愛かったけど？！
お前目おかしいぞ神威！！)




と心の中で反論するあたし
でも、神威が言った あたしじゃないと意味が無い
って言葉は素直に嬉しかった





(あの感じじゃ、記憶戻ったんだ)





と胸を撫で下ろしたその瞬間いきなり、あたしの視界は歪み始めた





(！！)





もうお別れか...とぼんやり思う






神威、阿伏兎、






そう思いながらあたしの意識は闇に包まれた





『ん、...ん？』



目が覚めた。夢にしてはリアルだったなと
未だ覚醒しない頭でぼんやり考える




でも、夢にしろあいつらの姿を見れてよかった。
まあでも会いたい気持ちは強くなったけど、




『...もう一度あんたの世界に戻りたいよ。
どんな姿でも...』




と、呟けばその返事をしたかのように
キラリと太陽の日が強まった気がした





ー
ーー





『ただいま〜』




と学校から帰宅する、返ってこない
"おかえり"の返事。未だになれない。





『今日は疲れたな...』





なんて、特に何もしてないはずなのだが
ぽいぽいと制服を脱ぎ下着姿のみになり
そのままベッドにダイブした





『...ん、眠い..』





布団に潜り込めば直ぐに襲いかかる睡魔
次第に重たくなる瞼に逆らうこと無くゆっくりと
瞳を閉じた

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