小さな神威くんの飼育係

第101話 『目覚め』 ページ19

『ぷっはぁあ！！！！』


ゼェ、ゼェと肩で息をしながら、横になっていた
体を起こす


そこでふと我に返り、己が生きてる事に驚きを隠せずにいた



『うそ...なんで...？！』



と手をグーパーしたり、貫かれたはずの腹を見れば
腹部にはしっかり傷跡が残っている



あれは夢ではない、現実に起こった事なんだと
その傷跡が知らしめているかのよう



『...、戻ってきちゃったんだ、自分の世界に、』



と寂しくポツリと呟いたその言葉が静寂によって
かき消された




ー
ーー



「ちょっとAーッ！！あんた1ヶ月もの間
学校来なくて何やってわけー！？」



と朝登校していると友人のB子が駆け寄ってくる
その前に、1ヶ月...？そこに疑問が湧いた



『あー、ちょっと旅行いってて...』



と言えば なによそれ〜 と笑う友人に愛想笑いで
笑みを返した



『(1ヶ月以上はあっちの世界にいたはず...
今日も一か八かで制服着て登校してみたけど、
向こうの世界とこっちの世界の流れる時間が
違うみたいだな)』




と1人考え込んでいれば、友人に





「え？また腹痛いの？」




なんて言われてしまい咄嗟に





『違ェわ！！！！』





と答えた




ー




キーンコーンカーンコーン



早くも時間が経ち、
お昼を告げるチャイムがなる、己のバッグから
お弁当箱を出し、腹ごしらえをしようとした時
友人が駆け寄ってきた




「ちょっと！何一人で食べようとしてんの？
前は一緒に食べてたじゃん！」




とも〜う、と怒る友人にごめんごめん、と謝る
そんな会話をしながら、弁当箱を開ければ
己が作った玉子焼きやら、ハンバーグ、などが
綺麗に詰められていて少し寂しく感じた





『(確か、前はあいつがあたしのお弁当全部
食べちゃったんだっけ)』





なんて過去のことを思い出し、自傷気味に笑った





あいつに、会いたい、





もうそんな願い叶うはずもないけど、






そして、そうこうしているうちにあっという間に時はすぎる




気づけば、4時近くになっていて
校舎内はもぬけの殻、あたしも早く帰らなきゃと
バックを片手に外に出た





『...帰ってもどうせ1人...』





なんてポツリと呟いてもその言葉をひろってくれる
者もいない。


こんな寂しい思いをするのならばいっその事
あのまま死んでしまえばよかったなんて、思ってしまう自分もいた





『神威...、』

第102話 『夢うつつ』→←第100話 『神威の心情』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す