小さな神威くんの飼育係

第3話 『何者なの？』 ページ3

『いい？！ぜっっっったいに顔出すなよ
あと絶対声も出すな
息もするな！！！！！』





「何お前俺の事殺したいの？」





『そのつもりで身を潜めといて』





と私が小さな声で呟くと
ポケット内からギュッと横腹をつねられた






『い"っつ！！！！！！！』








思いの外声が大きく登校する周りの学生達に
じろりと見られる







ふざけんな神威...！と心の中で暴言を吐き
クスクスと笑いをこらえる声に右ポケットを
軽く叩いた







ー
ーー







キーンコーンカーンコーン







「A次は体育だよ
着替えよ」







と駆け寄ってくる友人に
ヘラヘラと笑いながら、
後で行くわ！とカバンを持ち教室を出る






向かった先は屋上だ







「体育とやらに行かないのかよ」






『いや、あんたどうしようかなって』






と呟きながらあたしはバックの中から
小さな手のひらサイズの箱とライターと出す







「...」






まん丸の大きな目でじっと私の手の中の
ものを見つめるが苦笑し
彼と少し距離をとった






カチッカチッ






『ふぅーーーーーー...』







肺にめいいっぱい煙を吸い込めば
吐き出される煙






それをぼんやりと眺める神威は
不機嫌そうに鼻を抑える







「女が煙草なんて印象悪いよ」






『はは、煙草は分かるんだ』






「俺の世界にもあるからね」






と遠くを見る神威に
あたしは少し気になった









『ねえ神威、あんたの世界って
どんな所？』







と聞くと







「ここと似たようなもんじゃない？
俺はあまり地上には降りないから
よく分からないけどね」






とカラカラ笑った







『地上には降りないって
あんた何者なのよ一体』







と私が質問すると彼は
ニッと笑いながらこう答えた







「宇宙海賊春雨の団長、って所かな」







と答えるもんで
ああ、子供だなとクスクスと笑う






『い゛っ！！！！！！！！！！』







「嘘だと思ってるだろ」







『分かったからつねるな！』







子供のくせに何でこんな
馬鹿力なんだよ！！
と内心イライラしながらもタバコの火を消し
教室に戻った







『とにかく体操着に着替えちゃうから
少しの間神威はバックの中に入ってて！』





とバタバタしながら体操着に着替え
教室を出ようとする。すると後ろから




「まあ、頑張ってきなよ」






と声が聞こえ振り向かないまま
にやける顔を手で隠した

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