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#08-3 JK ページ29

YN「、アニ、…お迎えは、ありません」

「えっ!歩いて帰るんですか?危ないですよ」


YN「、今日は、まだ、帰りません」


「、え、」


胸の前で広げた両手の指先を合わせたユナは、まるで叱られた子供のように、身を縮こまらせた。

ジョングクがユナの言葉に驚いていると、不意に携帯が振動する音がした。


ーーー僕の、じゃないな。じゃあ、


ユナがリュックから携帯を取り出す。

一度振動を始めた携帯は、一向に鳴り止まなくて。
ひっきりなしにメールと電話の着信を告げる。

ジョングクが「出なくていいの?」と聞いても、ユナはただ黙って携帯の画面を見つめていた。


ーーー明らかに、様子が変だ。


「、どこか、行きたいところがあるんですか?」

YN「……海に」

「海?」

YN「、海に、行きたくて」

「…どこの海ですか?」

YN「、どこ、…」


バスケットハットから覗くユナの表情は、どこかぼんやりとしていて。


「どこ、でしょう」と首を傾げた。

「ここから一番近いのはー…乙旺里、か。電車とバスで、一時間半ぐらいですね」

YN「…うるわんり…いちじかんはん…」


ユナはジョングクの言葉を鸚鵡返しに呟く。

まるで迷子の幼子のような仕草に、表情にジョングクは一気に不安を覚えた。


ーーーユナさんを、一人にしてはいけない。


直感的にそう感じて。


「ユナさん、僕も海を見に行きたいんですが、一緒に行ってもいいですか」


そう尋ねたジョングクに、ユナはきょとん、とした表情でジョングクを見つめた。

にこりと笑顔を浮かべたジョングクは、再度言葉を重ねる。


「僕、釜山出身なので海を見るのが好きなんです。ユナさんの言葉を聞いてたら、僕も久しぶりに海を見たくなりました」


だから、一緒に行ってもいいですか。


じっとジョングクの言葉を聞いていたユナは、数拍の呼吸を置いてから、ゆっくりと頷いた。


ユナと一緒にお店を出たジョングクは、送迎車の中にいるマネージャーに声をかける。

「これから友達とご飯を食べてくるから」と。

後部座席にテヒョンの忘れ物の帽子があったことを思い出して、それを拝借した。

訝しげにジョングクを引き止めるマネージャーの声は聞こえないふりをして。

テヒョンを帽子を目深に被ったジョングクは、店先で待つユナの元に足速に戻った。


「ユナさん、それじゃあ行きましょうか」

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作者名:kamome | 作成日時:2023年1月16日 17時

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