他人事なのに ページ20
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ふぅ、と深呼吸して扉に手をかける。
「よし」
そっと仕事場をすりぬけるように歩きながら、ゆっくり目を動かして団員等を見ていく。
「あれ?」
ちゃんと端から端まで見たのに、あの時の団員等の姿はなかった。
「阿伏ちゃん」
阿伏兎「Aか。もう大丈夫なのか?あと阿伏兎って呼んでくれ」
「あの時の団員達は?」
居ないけど…と言いながらもう一度周りを見渡してみた。
阿伏兎「…あぁ、あいつ等は切られた」
「切られた?」
阿伏兎「クビってことだな。団長が決めたんだ また礼言っとけよ」
「え、?!話したの」
阿伏兎「俺は団長の質問に答えただけだ。あとは団長が勝手にやったから知らねェな」
「もう。嘘ついたのバレちゃったじゃない」
階段から落ちたって伝えてるのに…
阿伏兎「知らねェよ、なんで嘘つくんだよ」
「なんとなく?…言いたくなかった、みたいな」
あの場では言っちゃダメな気がして。
阿伏兎「…なんだそりゃァ」
もうこれ以上は仕事が進まないからか、阿伏ちゃんは目線を仕事へ戻した。私も自分の席につく。
「でも団長、他人事に興味無さそうなのになんで…」
また考え事が増えて手が進まない。
「はぁ…」
今日何度目かのため息をついた時、このタイミングで団長が仕事場へ入ってきた。
どうしよう…どんな顔してれば…
こっちに向かって歩いてくる。目が泳ぎながらも視線は団長の方へ向かっていく。
神威「今日はサボりじゃないんだ」
目がバッチリ合ったのでそらす訳にも行かず、向こうから話しかけてきた。
「ぁ、は、はい…」
サボった事なんかない!と言いたいところだったけど、気分的に休んだ部分もあって否定出来なかった。
「あ、それより団長」
神威「ん?」
「なんで私の為に、あの人達をクビにしてくれたんですか?」
そう聞くと団長は阿伏ちゃんの方へ視線を移し、阿伏ちゃんを睨んだ。…気がした。
神威「別に、Aの為じゃないよ。 ああいうやり方が気に入らなかったから。嫌いなんだよ」
代わりの言葉を探すように話す団長を見て、思わず笑ってしまった。
「ふふ、ありがとうございます」
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さな(プロフ) - Kさん» 返信遅くなりごめんなさい(><)すごく励みになりますありがとうございます! (2018年2月7日 3時) (レス) id: e49a683dbf (このIDを非表示/違反報告)
K - とてもおもしろかったです。続き頑張ってください! (2018年1月6日 10時) (レス) id: ca61ce99c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな x他1人 | 作成日時:2017年12月20日 1時