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「随分と楽しそうじゃねぇか…?」
獲物を見つけたら絶対に逃がさない、なんてものでは無い。獲物を見つけたら絶対に殺す、よりも恐ろしい。そんな彼は、狩人なんてものでは無い。
そう、
「ぎゃぁぁあ!!!!殺し屋ぁぁ!!!!!」
「だぁれが、殺し屋だぁぁぁあ!!!!!!」
やばいやばい、そう言いながら総悟の腕をグイグイと引きずるように引っ張る。こんな時間なら起きている人は少ないかと思い誰にも気が付かれないうちに自分の部屋へと滑りこもう、その考えが甘かったんだ。いや、土方さんが起きている可能性は高かった。
「そ、総悟!いる!?まだいる!?」
「いるぜィ、今にもお前をとって煮て食っちまいそうな狩人がなぁ。あ、いや、火炙りかも」
「どっちでもいいわ!!!!!!!」
なんで私は1週間に2回は鬼ごっこをしているのだろう。いっそ、1種の訓練だとか言っちゃっても大丈夫じゃないかと思えるほど死ぬ気の鬼ごっこだ。
本気とかいてマジと読むアレだ。ゴゴゴゴゴ、と漫画のようなエフェクトを背中に背負い込んで追いかける土方さんだが本当にやめて頂きたい。
こちとら疲れてるんだぞ!!!と言ってやりたいが、土方さんも同じくらい疲れているんだろう。その証拠に、くっきりはっきりと隈が濃くついている。私たちの分までお疲れ様です、と心の中でマヨネーズを差し出した。
ここを曲がれば女風呂へ逃げ込むことができることを思い出し、急カーブをする。この時間ならば女中さんが入っていることはほぼほぼ無いので、逃げ込んでしまえばこちらの勝ちだ。総悟はしらないけど。
「あれ、Aちゃん。」
「へっ!?」
「あでっ」
「ぐはっ」
急カーブをして女風呂の赤色が見えたと思ったその瞬間、私は誰かと正面衝突した。予想以上の音が頭からなり、頭蓋骨にヒビが入ったかなと思う。熱が集まっていくその場所に冷えた手を当てて立ち上がる。
「ザキィ!!何してるの、こんな時間に!!」
「そのままそっくり返すよ。何やってるの、3人して。」
いやぁ、とわざとらしく笑いながら後ろで伸びている2人を見る。どうやら、打ちどころが悪かったらしく1人は下をもう1人は腹を抱えて蹲っていた。ごめんなさい、と心で謝りつつも、私はそろりそろりと女風呂へ逃げ込んだ。
「はぁ、これで一安心……」
「これからどうするかなぁ…」
そう考え込んだ瞬間、再び狩人と狼の声があたり一帯に響き渡った。
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ゆうひ(プロフ) - マダヲさん» ありがとうございます〜!好みにドンピシャだなんて、書いていて本当に良かったです。狂愛、みたいなものも大好きでして…笑本当にありがとうございます〜!!! (2019年4月5日 8時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
マダヲ - 初めまして。堕天使さんの作品から来ました。題名に惹かれて覗いてみたら、私の好みにドンピシャで、特にいっそ殺してしまおうかの最後とか、ゾッとして素敵でした。これからも応援しているので、頑張ってください(≧∇≦) (2019年4月5日 1時) (レス) id: ad70ae180d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうひ | 作成日時:2018年5月13日 1時