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午後三時 ページ3

「あ、猫の毛」


仕事と言いながら、猫と戯れて帰ってきた午後三時。
土方さんとのリアル鬼ごっこは、こいつの何気もない一言によって始まった。


「見廻りに行ってきたんじゃなかったのかぁ?神谷」


「いやぁ…あはは……」


今日はいい日になると、結野アナも言っていたのにな。そう思いながらも彼を睨んだ。


「なんで猫の毛なんか付いてるんだ?」


「ね、猫を助けてあげました……」


「ダウト」


咄嗟に思いついた嘘を口にすれば、トランプゲームでの言葉を返された。


「だってぇ……」


「だってじゃねぇんだよ、だいたいお前はなぁ!………


土方さんのお説教がまた始まってしまった。
大体、総悟もサボっていたのだからあいつも怒られる対象になるはずだ。


「………」


「おい、聞いてんのか?」


「逃げるが勝ちです!!」


「おい!神谷!!」


淡々と怒る土方さんをすっと交わし、長い廊下を駆け出した。流石に外へ逃げることは出来ないので、何処かへ身を隠そう。そう考えながら、全速力で走る。



「あぁ!総悟!」


「……うるせぇや」


「わっ!」


総悟の姿が見えたものだから、つい口に出して呼んでしまった。すると、呆れたような声と共に私は腕を引かれた。急に引かれたので私は体勢を崩した。


「……って、総悟!」


「匿ってやったんだろィ」


ありがたく思え、そうとでも言うような顔に怒りの顔を覚えた。物陰から覗くと土方さんからは上手く逃げられていたようだった。
このまま屯所にいてもばったりと遭遇してしまうため、見廻りとでも行って外へ行こう。


「じゃ、土方さん行ったみたいだから」


「もう行っちまうのかィ?」


「ここじゃなければ、ときめいてたかもしれないな」


言われたらキュンとするであるセリフを、ここで使われてもどうも思わなかった。たしかに心臓はバクバクしているが、これは鬼から逃げていたからだと思う。


「………」


「総悟?」


私が首をかしげると、総悟は立ち上がり私の目の前へ立つ。10センチ程の差がある私たち。総悟は私と目線を合わせるかのように少しかがんだ。


「え…!」


「じゃあな」


すると、総悟は私の頰に唇を落とした。

その瞬間、私の顔は耳まで真っ赤になっていたのが自分でもわかった。
そんな中ポーカーフェイスを気取って総悟は自分の部屋へと向かって行った。


「……もう」


彼が触れたところを触ると、まだ熱が帯びていた。
この胸のドキドキは、きっと総悟のせい。

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ゆうひ(プロフ) - マダヲさん» ありがとうございます〜!好みにドンピシャだなんて、書いていて本当に良かったです。狂愛、みたいなものも大好きでして…笑本当にありがとうございます〜!!! (2019年4月5日 8時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
マダヲ - 初めまして。堕天使さんの作品から来ました。題名に惹かれて覗いてみたら、私の好みにドンピシャで、特にいっそ殺してしまおうかの最後とか、ゾッとして素敵でした。これからも応援しているので、頑張ってください(≧∇≦) (2019年4月5日 1時) (レス) id: ad70ae180d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうひ | 作成日時:2018年5月13日 1時

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