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「もー、いっそ着替えずに行って見せびらかしたらええやん。剣持みたら可愛すぎて倒れるんとちゃう?」
「そんなわけ…すごい嫌な顔されるのが目に浮かぶよ…」
「それこそ無いって、彼女が自分のジャージ着てたら喜ぶやろ普通」

そこまで言った樋口さんは「いやでも…」と言い淀む。それに首を傾げてどうしたのかと問えば、苦笑いを浮かべた。

「それ、伏見に借りたそれが剣持のやったんよね」
「え、う、うん」
「あーーーーー…」
「えっえっえっ、なに?なに?どうしたの!?」

苦笑いから苦渋の表情。自体は私が思っているよりも深刻かもしれない。焦りが募るなか、必死で樋口さんに解決法を尋ねれば、彼女は首を横に振り口を開いた。

「ちゃうって、Aちゃんが"伏見に借りようとした"ところが問題なんよ」
「…え?」

樋口さんの言葉に思わず聞き返す。
そんな私に樋口さんははぁとため息をついて、がっしりと両肩に手を置いた。そして、ずいと顔を近づける。

「彼氏以外の男から服借りるなんてビッチのやることやで」
「び、びっち…!?!?」
「おん、そやで、あーあこりゃ剣持怒るわ激怒だわ」
「げきど…!?、?」
「中身が剣持のやったんが唯一の救いやな」
「その救いすらも大問題…!!!!!」

ぎゃー!と声を上げた私に、樋口さんは何やら楽しげにニヤついている。

なんだなんだ喧嘩を売られているのか?買うぞ?買っちゃうぞ?いややっぱりやめておきます樋口さんには勝てない絶対に!

「…返す時りりむちゃんについてきてもらう、それで、謝り倒す」
「うちが着いてってもええよ?」
「顔に楽しそうだからって書いてあるからいや」
「ばれてら」

次の瞬間、はぁとため息をつくきゃははっと笑う樋口さんにに先生から雷が落ちるのだが、心と頭が大荒れな私にとってそんな事はごく些細な事だった。

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作者名:でん太郎 | 作成日時:2022年10月2日 17時

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