せめて今日だけは消えないで3 ~fin~ 【ARS】 (ページ5)

今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:24,653 hit

＊100＊ページ5

和side

意識が朦朧としてきて自分が今どういう状態なのかも分からない。

それでも力を振り絞って被っていたニット帽を手に取った。

みんながくれたこのニット帽。

少しでもみんなの存在を感じたかった。

和「はぁっ、はっ、はっ」

また呼吸が苦しくなってきた。

ぎゅっとニット帽を握りしめる。

助けて、みんな…

雅『ニノ、聞こえる？』

翔『頑張ってるなニノ、偉いぞ』

あれ？みんなの声が聞こえる。

この部屋にいるはずないのに。

潤『俺の真似して息してね、吸ってー、吐いてー』

和「すっ、はっ、はっ…」

潤『落ち着いてゆっくりだよ、吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー』

和「はぁっ、すー、はー、すー、はー」

智『上手くできてる、その調子だよ』

潤くんの声に合わせて呼吸をすると段々と呼吸が整ってきた。

翔『俺たち今部屋の外にいるからな』

雅『安心してね、ニノ』

返事をしようとしたが、声を出そうとすると再び呼吸が乱れそうになる。

少しだけ頷くように首を動かした。

部屋の外にいるみんななら気づいてくれるだろう。

その後もみんなは順番に俺と喋ってくれた。

と言っても俺は声を出せないから話を聞くだけだったけど。

でもみんなの声を聞いていると不思議と落ち着くんだ。