脚色 Ⅱ (ページ24)

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向井がそうラウールに伝えると、ラウールは目を見開いて驚いた。自分を挑発している向井が、戦えるようにしてくれる…？まさか、そんな、とラウールは動揺していたが更に向井は畳みかけるように告げる

kj「ふっかさんの事はみっちーに任せれば大丈夫や、そしたら照にぃ達も全力が出せる」
ru「で、でもっ…ぼく、たたかった、りとか」
kj「其処は俺がカバーしたる、ふっかさんえぇかな？」
fk「お、俺は大丈夫だけど…」

深澤の了承を得た向井は砂時計を回し、座標を合わせて深澤のみをホテルへと瞬間移動(テレポート)させた。それを遠巻きに見ていた目黒は歯軋りをしながら影を剣から鎌に変形させていく
これで準備は出来た、そう言わんばかりに全員が戦闘態勢に入る

nb「照、みんな」
iw「翔太、？」
nb「涼太のことは俺に任せてほしい」
sk「へっ、？」
iw「翔太、良いんだな？」
nb「覚悟出来てるか、って聞いたのは照だろ」

渡辺はそう言うと、手中に意識を集中させ水蒸気を固形化させていく。元素を固定し、結晶化それを更に形成させていき、その手の中に現れたのは氷の銃剣だ
渡辺は美しい瞳を閉じ、深呼吸を始める。脳裏に思い浮かぶのは過去の彼と自分。笑い合ったあの百合の庭園での姿。あの日に交わした約束は今でも忘れてはいない

nb「…、【永劫、永久に、永眠するその時もその先も、百合の花のように美しい感情を抱いたまま、二人だけの秘密の花園を忘れることなく、死が二人を引き裂いても、それに抗い、傍に居よう】…そう言ったのは、命令(コマンド)も使わずにそう約束したのはお前だろッ、涼太!!」
dt「…、っ」

渡辺の銃口は宮舘に寸分の狂いもなく向かう。それを見た宮舘は口を開いて異能力(ギフト)を使用し、一般人を盾にその弾丸を避けようとした。だが、

nb「そんなちゃちなことしか出来なくなったのかよ、」

渡辺から吐き出される白銀の息。雪に結晶が垣間見えるそれは宙を舞い、宮舘の傀儡になっている一般人の元に向かう。何が目的なのか分からない宮舘は自らの身だけを引いて経過観察をしていた。すると、渡辺はそれに相乗させるかの如く氷の銃弾を辺りに撃ちこむ

nb「眠り際の御伽に聞かせてやるよ、俺の名前は渡辺翔太…偽物でもなんでもねぇ！正真正銘、宮舘涼太の対の人間だッ!!!!」

彼等の周りに大輪の百合の花が咲き誇った。その瞬間、一般人達は糸が切れたように次々と倒れてゆく。まるで眠るように

nb「邪魔はもう居ねぇよ、涼太、…愛し合おうぜ？」