脚色 Ⅱ (ページ3)

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作間は重く錆びついたハンドルを回していく
すると、まず始めに膝を挟んでいた板が締まっていった
最初は我慢できる、どうにかやり過ごせる、そう思い阿部は歯を食いしばって目を思いきり閉じた

ab「ッ、ふ、ぅ"っ…ぅ、」
sr「すっご、耐えるんだ？じゃぁ、一思いに潰してあげるよ」

その姿を見た作間は、少し詰まらなさそうにしながら勢い良くハンドルを回す
そこで、阿部の膝からゴリッ、ゴキリ、と鈍い音と擦り合わされる音が響く

堪らず、声が出てしまった

ab「ぎ、ぃあ"ッあぁぁぁあ"あｯｯ!??!?!いだい、い"ッ、ゃやだやッぁぁ"ぁあ"っ!!!!!」
sr「そうそうそれそれ！それが聞きたかったんだよ！安心して、録画もしてあるから後で見ようね？すっごい顔してるから♡」
ab「や"だッ!!ぁ"ぁぁぁああぁッ!!!いだい、いだいい"だいぃぃ"ぃぃいッ!!!!!」

そう叫ぶ阿部を見て、恍惚とした表情を浮かべながら、作間は次々にハンドルと回しては緩めを繰り返し、阿部の膝下の骨を砕いていく
その最中に、内部で折れた骨は鋭利な刃物のように皮膚を突き破り、血が滲み、更なる痛みを産み出す

痛みの感覚に、いっそ気を飛ばせたらどれだけ楽だろうか、阿部は何度も願った

ab「だずげッ、だい"ｯ!!だいすげぇ"ｯｯ!!あぁ"ぁ"ぁあ"あッ!!?!!いだいッいだいやだやだやだやだぁぁぁぁあぁｯ!!!!!」
sr「血ぃやばぁ…あと処理めんどくさそうだなぁ…」
ab「ぅ"おっぇ"ｯ!!ぁぅ"ぅう"～～～～～ｯｯ!!」

最早足の神経はイカれ、阿部の意思とは関係なく大きく痙攣している
まるで別の生き物のような自らの足を見た阿部は絶望し、喉が焼けるような悲鳴しか上げることが出来ない

異常なまでの痛みに身体は拒否反応を起こし、胃からは消化液と食事の残留物が混ざり合った嘔吐物が逆流し、口端から溢れ出る
瞳は見開かれ、血眼になり涙を流し、大量の汗が溢れ出てそれがまた目に沁みゆく

いつもの凛とした姿は、もう何処にも存在していなかった

sr「よしっと、これで当分餌には困んないや…って、阿部くん大丈夫？」
ab「ぁ"ｯ、ぅ"…、ぁ"」
sr「あぁ、駄目だ。気ぃ飛ばしてるや」

作間は涙や唾液、痛みから吐き出した嘔吐物でぐちゃぐちゃになった阿部の顔を覗くと、そう呟いて能面を外す

sr「可哀想な子、俺が助けてあげるよ」

端正な顔立ちの上半分に存在する瞳の闇は蠢き、その奥にある何かは煌々と紫色に輝いていた
眠り際、阿部は痛みとその光景のみが脳裏に焼き付く