吸血 64 ページ20
Aside
嘘……人狼………？え、何で………？
リ「本当は、言わないまま隠しておくつもりだったんだ。でもあの作戦のせいでAが誰かに取られるなら、利用して一緒にいようと思った」
自由にできる人間に僕を指名すれば、ずっと一緒にいられるから。
リ「殺したところをAの保護者に見られた。Aは優しいから顔に出るんだよ。不安とか悲しさとか、俺が学校に行ったらそういう顔するだろ？それに…………」
一旦言葉を止めたリトは顔ごと逸らして小さな声で言った。
リ「嫌いになったろ？俺のこと。Aのこと騙して嘘で出来た友情。それにAの両親を殺した。憎んで当然なんだよ。なのに一緒にいたいんだ。………ホント、馬鹿だよなぁ……」
声を上げて泣かないように、口を結んでいるリト。本当に両親を殺した人狼なのか分からない。そりゃ、大切な両親を殺したことは許せない。けど何でかな？大嫌い、憎い、殺してやる。そんな感情にならないんだ。
ごちゃ混ぜで、ただ説明出来ないぐらい感情が暴れている。
主「何で……両親を殺したの？……何で僕に黙ってたの？何で僕の友達になったの？」
一度口にしたら感情は止まらなくて。気持ちが溢れるように言葉が零れていく。
主「何で僕に優しくしたの！？何で僕のために怒ってくれたの！？何で僕の側にいてくれたの！？
何でっ、僕はリトを憎めないのっ………！優しくされなきゃ、こんなに苦しくなかったのにっ………！！」
思いは涙にもなって零れていく。リトのように声をあげないように必死に堪えて涙を落とした。
リ「憎め、ない………？」
僕の方を見たリトは驚きと共に不安の顔を浮かべた。
主「憎めないよ！ずっと傍にいてくれて、優しくて、頼りになるリトを、憎むなんて出来ない……！」
苦しそうに顔を歪めたリトは、何故か乾いた笑いを洩らした。
リ「優しいな、A。でももう遅い。だから＿＿＿＿＿」
近付いたリトは、右手を出し僕の心臓辺りに触れる。何か念を送るように瞳を閉じたリトは、目を開けると同時に僕を押した。
主「え…………？」
ふらついて立てなくなり、地面に倒れる寸前リトに抱き寄せられる。体が言うことを聞かず、手足もピクリとすら動かない。
リ「だから俺は最後まで、同族殺しの悪役を演じ続けるから」
意識が遠くなっていく中、リトの涙が僕の頬に落ちる感覚がした。
リ「ごめんな、A」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まどか - りょーかい、待ってるね！！ (2018年8月27日 16時) (
レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» ありがとー！それじゃ戦いを終わらせられるよう、頑張りまっす！ (2018年8月26日 10時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - うんうん、凄い！！私も早速投票させてもらったよ(^^♪ (2018年8月26日 1時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» アンケート作ってみた！どうかな？上手くできてるといいけど………。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - オッケー、待ってるっ！！ (2018年8月24日 21時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年5月26日 0時
