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吸血 62 ページ17

Aside

やっぱり話すのは何だか抵抗があった。話してくれた本当のリトの気持ちを蔑ろにしているような嫌な感覚に襲われた。

涼「A、大丈夫ですか?」

隣に来た涼先輩はそっと僕の肩に触れる。

主「……何だかリトの気持ちが分からない自分とか、話してしまった自分とか、嫌だなって思ってます」

不甲斐ないという感情がぐるぐるしている。それに、リトが人狼かもしれないという事実。証拠みたいなものは何1つないのに、そうかもしれないという考えがよぎった自分が堪らなく嫌だ。

涼「A、人間は完璧ではありません。人の気持ちを全て分かろうだなんて無理ですよ。それに、」

続きの言葉がなくて先輩を見ると、髪の色が白く変わっていく。目を開けた先輩の右目は紅。白目の部分は黒に変化していた。右側の頭部からは黒い角が出て、初めて会ったあの時は暗かったからよく分からなかったけど服は赤が所々に施されている着物に変わる。

涼先輩は酒呑童子になっていた。

酒「大神は忘れろって言ったんだろ?なら忘れりゃいいじゃねーか」

主「そういう問題じゃないんだよ………」

リト、何処か行っちゃいそうな感じだったんだもん。

酒「人間ってのは難儀だな〜。昔の奴の方がまだ伝えたいこと明確だったぜ」

確かに、言いたいことが言えないって人は多くなったかもしれない。

酒「遠回り過ぎるんだよ。伝えたいことははっきり言えっつーの!知りたいなら知ろうとしろ。聞くのが一番だ!」

少し怒ったような口調の酒呑童子は僕を見た。

酒「あーそういや、アドバイスはなしだっけな。忘れろ。今のはアドバイスじゃなくて俺の考えだ」

背もたれに寄りかかり足を組んだ酒呑童子は一度深くため息を吐いた。

主「そう、だよね………」

心の中で酒呑童子の言葉を反芻する。

主「酒呑童子の言う通りだよ!僕、リトにちゃんと聞いてみる。リトが人狼なのかも、あの言葉の意味も知りたいから。全部聞いてスッキリしてくる!」

驚いた酒呑童子は僕の言葉を聞いて大きく頷いた。

酒「おう!頑張ってこい」

ちょうど話が終わったときにルイたちが戻ってきた。今日は結界の強化をして帰るそうだ。

リト、待っててね。しっかり聞いて、その上で嫌いになるか判断する。少しだけ怖いけど、僕はリトの親友だから。

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設定タグ:埋夜冬 , オリジナル , 吸血鬼   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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まどか - りょーかい、待ってるね!! (2018年8月27日 16時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» ありがとー!それじゃ戦いを終わらせられるよう、頑張りまっす! (2018年8月26日 10時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - うんうん、凄い!!私も早速投票させてもらったよ(^^♪ (2018年8月26日 1時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» アンケート作ってみた!どうかな?上手くできてるといいけど………。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - オッケー、待ってるっ!! (2018年8月24日 21時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2018年5月26日 0時

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