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「でね?その時坂下さんがさぁ」
「坂下さんこの前チラッと見たけどそんなことするような人には見えなかったよ…イメージ変わった…」
「良い人なんだけどね?良い人なんだけど、ちょっとネジ外れてるの」
次の日の夜。私たちはマサの行きつけの居酒屋に来ていた。角のあまり人目につかない席なので、意外とバレない。
「最近はどんな感じなの?」
「何が?」
「体調。見た感じ元気そうだけど、前は毎朝死にそうな顔して仕事来てたじゃん」
「あー…灯籠流しの時?まああの時はいろいろあって…」
「解決したの?」
「したっていうか、逃げてきたって感じ。考えたくなくなっちゃったから、逃げた」
ジョッキに残っていたビールを一気に飲み、カクテルを注文する。
オープンにお酒を飲めるようになってから、気付けば炭酸も飲めるようになっていた。でも、コーラとかサイダーとか、ジュースの炭酸は飲まない。20年避け続けてきたものを今更歩み寄る必要はない。
無くても生きていける。
…お酒は無いと生きていけない。
「…見つかってないの?」
「うん。まだ平気。いつ見つかるかってヒヤヒヤしてるけど、その時は本業の出番だよね」
「知らないフリ?」
「それしかないなーって思わない?」
「まあ、そうだね」
「だから知らないフリする」
他人行儀の挨拶をするだけ。必要最低限の会話を事務的にするだけ。個人的な関わりを持つつもりはない。
持ってしまったら、求めてしまう。
せっかく、必死に捨てたのに、嫌いなはずのものに手を伸ばしてしまう。
それが怖いから、必死に逃げる。
絶対に会いたくない。
「そういう手も、良いと思うよ」
マサは、それ以上その話題には触れなかった。
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鼎(プロフ) - 自称 神木隆之介様 依存症さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(o^^o)のんびり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2016年5月18日 6時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
自称 神木隆之介様 依存症(プロフ) - この小説大好きです!!更新楽しみにしてます!!頑張ってください!! (2016年5月18日 0時) (レス) id: dbd5180fdd (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - すずやさん» ありがとうございます!のんびり更新ですが頑張って更新していくのでよろしくお願いします(^O^) (2016年5月14日 0時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
すずや - すごい面白かったですー。更新楽しみにしてますー! (2016年5月13日 23時) (レス) id: eddc991718 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼎 | 作成日時:2016年4月12日 22時