同じ世界 ２【神木隆之介】

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神木さんと仕事をする事が減るわけでは無い。
これから映画の公開が始まるので、むしろ増えている。
バラエティ番組の出演は、神木さんとのペアが一番多い。
何事も無かったかのように自然に、けれど、必要以上には話さない。
お互い、微妙な距離を探り合う。

坂下さんには、早々にバレた。
あの次の日、私の顔をみた坂下さんの一言目は、「なんかあったでしょ。神木くん？Aちゃん目ェ腫れてむくんでブスだよ」というたまに出るドストレートな発言。
氷で冷やしたり、メイクで誤魔化したりと、その日の仕事の準備は大変だった。

「お疲れ様でした」
「お疲れ様」

神木さんと他人行儀な挨拶を交わして控え室へ向かう。
このままじゃいけないと思う反面、この関係が楽だと思う自分もいる。
自己嫌悪や劣等感がなくなったわけじゃない。けれど、神木さんのあの笑顔が自分に向けられないことは、とても楽だった。
本当に、心の底からクズだなと思う。性格が歪んでいる。歪みすぎて、どうにかなっている。
絶対一生彼氏できない。

「Aちゃん、今日飲みに行こう」
「坂下さん、奢ってくださいね」
「相変わらずだね〜Aちゃん」

いつものとこね、と、坂下さんは笑った。

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