紅い噛み痕をつけて【AtR】

bite32 ページ32

「っ…」




いったいどうしてしまったんだろうか。


ふいっと春華を見つめると彼女は口元を緩めた




「A…その状態治すには、一ノ瀬君と相川君以外の男にキスしてもらわなきゃ無理だよ」




と言ってくる






「えっ……っ？」





「え、僕じゃダメなの？」





真冬は、驚いた顔をして春華に問うけど





「だってAが今そうなってるのって一ノ瀬君のせいでしょ？」




「俺のせい？」




「何知らないふりしてるの、Aにキスマークでもつけてもらったくせに」






春華がじっと彼方を見つめてそういう



どうして、私が彼方にキスマークをつけていることを知っているのだろうか。





ニッコリと笑った春華が




「だって、アップルティーの片方はそういう仕様だからね。」







"キスマークをお互い付け合うと、
狼化しない方は、相手の近くにいないと
大変なことになる。"








「一ノ瀬君よく気づいたね」





春華の言葉に彼方はため息をついて




「バレちゃうの早…せっかく真冬の前でも見せつけられると思ったのに」





なんて言う。




そんな話を隣で聞いていると
また心臓がドキドキしてきて

彼方に触れてほしいって思えてきてどうしようもない






「んー誰にキスしてもらおうかな」



なんて呟く春華に



「いや、なおさなくていいよ。1週間だし」



なんて返す彼方



「やだー！僕のキスで治らないの？？」



なんて慌てる真冬



「んんっ…誰でもいいからたすけて…」




私は、視界がだんだんぼやけて
倒れこみそうなくらい彼方に触れたくて仕方なかった。






すると、グッと腕を引っ張られて




ピンク色の髪が視界に見えた







チュッと唇に柔らかい感触を感じて





私の視界の歪んだ瞳は一瞬で元に戻った。







「これでいい？」





なんて聞いてきた目の前のピンクの髪の人は明らかに雰囲気が女の子っぽくて



「ふぇっ…お、女の子？」




完全に女の子にキスされたんだって思った。



あれ、この症状って男の子にキスされないと治らないんじゃなかったっけ？





そう思っていると
彼方がこちらを見て





「おい、成瀬………何してんだ」




と呟いた。



え、彼方の友達？

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