brother

６.Ｋｉside ページ7

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「え、待って待って、何も言わないってことは…？」

「あーそうですね、もう何とでも思って下さい」

「やだよ、お兄ちゃんがソッチ系とかナイ！」

「は？俺はお前を兄弟だとも思いたくもないし、そもそもこんなのが弟だなんてこっちの方がナイんですけど」




「……あ、オムライスがいいな！夕飯！よろしく〜」

今までの話がなかったかのように、今更夕飯のメニューをリクエストされた。



コイツは話を逸らすのが本当に上手い。
きっと今までも、こうやって生きてきたんだろう。

面倒な道はスルスルと通り抜けて、今みたいに人の顔色を伺いながら、うまーく話題を逸らして…上手に関係を保ってきたんだろう。


羨ましい。
そして……何故か憎めないキャラだ。

だから藤ヶ谷は友達が多いのか、なんて、この時ふと思った。



でも、例え毎日コイツにからかわれて、苛々して、嫌んなったとしても俺はいいんだ。

藤ヶ谷の親父の元で母さんが幸せになったのなら、俺は自立したちゃんとした大人になる。


それが、今の俺の生きる術だと分かったから。





ーーー



翌日の月曜日。


藤ヶ谷は熱を理由にして授業を休んだのに、何故か所属しているバスケ部には顔を出したらしい。

人気者の登場に女子からは黄色い歓声が、男子はみんな藤ヶ谷の周りに集まった。


「さすがだな〜藤ヶ谷！
顔もスタイルもいいのに性格も面白いらしいし、しかもあの玉森とコンビみたいにいつも一緒にいるし、ほんっと歩いてるだけで絵になるなあ〜。
俺らもあの２人みたいになれねーかな、んふふ」

放課後、一緒に歩いてた二階堂が藤ヶ谷のことを褒めちぎった上に、馬鹿みたいなことを言っていた。



「でもさ、彼女は大変だろうね〜、もし藤ヶ谷と付き合ったら」

「え？」

…そういえば彼女はいるんだろうか。

俺のことは意味不明な変なことまで聞き出す癖に、自分のことは何も話さなかったな。


「だって超人気者じゃん？相当心の広い子じゃないと無理っしょ。
しかも、可愛い子だったら来るもの拒まずって感じで誰とでも遊んじゃうじゃん？
彼女になる人は年上か〜？いいな〜」




……ん？…来る者拒まず…？

俺は、自分から行ってない。
ってことは「来る者」ではない。



…はぁ…また思い出してしまう。


頼むから早く俺の頭から消えてくれ。


「ソッチ系とかナイ！」って言ったのはアイツなのに、結局一番ソッチ系な行動してんのは自分じゃんかバカヤロー！



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